2018年10月18日木曜日

【harappa Tsu-shin】「harappa school 2018」前半戦終了しました♪

昨年度に続き、今年度も開講していた「harappa school」ですが、
今週、無事に全講義を終了しました!

今回も前回に引き続き、「音楽の時間」と「映画の時間」の2つの講義を開催♪
前回も受講してくれていた方や、今回から初めて受講してくれた方も、楽しく参加してくれました♪



「音楽の時間」の講師を務めてくれたのは、
前回から引き続き、弘前の音楽番長・齋藤浩(ASYLUM主宰)さん♪
ビートルズから始まるロックの変遷をたっぷりと語っていただきました♪
裏話などもたくさん出てきて、笑い声が耐えない講義となりました♪



「映画の時間」の講師を務めてくれたのは、
「越境するサル」でもおなじみの成田清文(harappa映画部スタッフ)さん♪
harappa映画館ではドキュメンタリーを担当していることもあり、
今回は「ドキュメンタリー」の歴史についてたくさん語っていただきました♪
毎回、たくさんのドキュメンタリー作品を紹介してくださり、
受講生も真剣なまなざしで受講していました♪


「harappa school 2018」では、後期の開講も予定しています♪
詳細が決まり次第、harappaのHPなどで告知しますので、
ぜひチェックしてみてください♪

今回参加してくださった皆さん、
講師の齋藤浩さん、成田清文さん、
本当にどうもありがとうございました!
また「harappa school」でお会いしましょう♪




(harappaスタッフ=太田))


2018年10月5日金曜日

【harappa Tsu-shin】第28回 harappa映画館「せつない。だけど、いとしい」

皆さん、こんにちは♪
先週末は第28回 harappa映画館の上映会がありました♪

今回は、「せつない。だけど、いとしい」と題して、
『希望のかなた』(監督:アキ・カウリスマキ / 2017年 / フィンランド / 98分)
『婚約者の友人』(監督:フランソワ・オゾン / 2016年 / フランス・ドイツ / 113分)
『パターソン』(監督:ジム・ジャームッシュ / 2016年 / アメリカ / 118分)
 の3本の映画を上映しました♪

芸術の秋にピッタリな3本だったのではないでしょうか?


そして、今回もたくさんの方々に足をお運びいただき嬉しい限りです♪

次回のharappa映画館は12月8日(土)を予定しております。
詳細が決まり次第、harappaのHPなどで告知しますので、
ぜひ楽しみにお待ちください♪


(harappaスタッフ=太田)

2018年10月2日火曜日

【越境するサル】№.179「今年出会ったドキュメンタリー 2018年7-9月期」(2018.9.30発行)

2018年7-9月期に出会ったドキュメンタリーについて報告する。


              「今年出会ったドキュメンタリー 2018年7-9月期」

   2018年7-9月までに観たドキュメンタリーを列挙する。映画の方すべてDVDでの鑑賞。( )内は製作年と監督名と鑑賞場所等、※はテレビ・ドキュメンタリー。

7月・・・『甘えることは許されない』(1975  柳澤壽男)
           『そっちやないこっちや  コミュニティ・ケアーへの道』(1982  柳澤壽男)
           『スペシャリスト~自覚なき殺戮者~』(1999  エイアル・シヴァン)
           『新世紀、パリ・オペラ座』(2017  ジャン=ステファヌ・ブロン)       
                                   
           『教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか』(2017  ドキュメントJ)※
           『“悪魔の医師”か“赤ひげ”か』(2018  ETV特集)※
           『犬の骨の花』(2018  NNNドキュメント)※
           『ベールの詩人~声をあげたサウジ女性~』(2018  ドキュランドへ ようこそ!)※
           『「私はパーキンソン病です」~あるカリスマ社長の足跡、信念、そして“熱狂”』
     (2017  第26回FNSドキュメンタリー大賞・特別賞受賞作品)※
           『崩れたシナリオ ~検証・今市事件~』(2018  テレメンタリー)※
           『黒い証拠 白い証拠~袴田事件 再審を問う』(2018  ドキュメントJ)※
           『私は産みたかった~旧優生保護法の下で~』(2018  ETV特集)※
           『私は私を全うする~佐々木ばあちゃんの熊本地震~』
     (2017  第26回FNSドキュメンタリー大賞・大賞受賞作品)※
           『農業経営者・多田克彦』(2018  プロフェッショナル 仕事の流儀)※ 
       
8月・・・『映画の都』(1991  飯塚俊男)
          『J:ビヨンド・フラメンコ』(2016  カルロス・サウラ)       
          『ダグマ~自爆テロへのボタン~』(2018  BS世界のドキュメンタリー)※     
          『シリーズ アメリカと被爆者』(2018  ETV特集)※
          『“被爆樹木”ニューヨークへ~ヒロシマ・NY 二つのサバイバー・ツリー~』
    (2018  BS1)※
          『ママ・コロネル』(2018  BS世界のドキュメンタリー)※ 
          『難民  希望への旅路』(2018  映像の世紀プレミアム)※
          『葬られた危機 ~イラク日報問題の原点~』(2018  テレメンタリー)※
          『おひとりさまの私』(2018  BS世界のドキュメンタリー)※                 
                   
9月・・・『レジスタンスなう! この歌は届きますか…?』(2017  原田圭輔)
          『We Love Television?』(2017  土屋敏男)
          『ラーメンヘッズ』(2018  重乃康紀)
          『ワールドカップ招致  闇の攻防』(2018  BS世界のドキュメンタリー)※
          『KGBの刺客を追え』(2018  BS世界のドキュメンタリー)※
          『イラン  禁断の扉』(2018  ドキュランドへ ようこそ!)※
          『Aの衝撃~コメ王国の正体』(2018  ドキュメントJ)※
          『微笑む仏~柳宗悦が見いだした木喰仏~』(2018  日曜美術館)
          『行列ができる婆ちゃんコント』(2018  NNNドキュメント)※
          『馬三家からの手紙』(2018  BS世界のドキュメンタリー)※
          『わたしは誰  我是誰~中国残留邦人3世の問いかけ~』(2018  ETV特集 )※
          『再会 ~日朝に別れた姉妹の58年~』(2018  テレメンタリー)※
       
   毎回、「収穫」を選んでいるが、今回も数本紹介する。まず、映画から。

   『甘えることは許されない』(1975  柳澤壽男)。近年、再評価が進む自主製作ドキュメンタリー映画の巨匠・柳澤壽男(1916-1999)。「福祉映画」というジャンルを超えて、その作品は私たちに凄みのようなもの、人間ひとりひとりの生きざまのようなものを提出する。『甘えることは許されない』は、仙台市のワーク・キャンパス(働きながら学ぶ園)で車椅子・松葉づえを頼りに技術習得を続ける人々を描いているが、単なるヒューマニズムでは終わっていない…6月からharappa school 「映画の時間~ドキュメンタリーの歴史をたどる」の講師をつとめている関係で、さまざまな歴史的作品に出会うことが多くなった。『そっちやないこっちや  コミュニティ・ケアーへの道』(1982  柳澤壽男)も、こうして出会った。

   『スペシャリスト~自覚なき殺戮者~』(1999  エイアル・シヴァン)。必要に迫られて、何度目かの鑑賞(というより内容のチェック)。観るたびに、新しい発見がある。詳しい内容については、かつて発表した文章があるので、そのまま掲載する。
   「『スペシャリスト』は、1961年にイェルサレムで行われた元ナチスSS将校アドルフ・アイヒマンの裁判を記録したフィルムを編集したものである。1960年、ユダヤ人虐殺に重要な役割を果たしたとされる元SS将校アドルフ・アイヒマンが、アルゼンチンでイスラエル特務機関によって逮捕・拉致された。この裁判の傍聴記を書くために雑誌『ニューヨーカー』の特派員を志願したのが、政治思想家のハンナ・アーレントである。しかし、ドイツ生まれでナチスの迫害からアメリカに亡命し戦後アメリカで活躍していたこのユダヤ人女性の傍聴記は、大論争を巻き起こす。『イェルサレムのアイヒマン~悪の陳腐さについての報告』(1963年、日本語版は「みすず書房」刊)と題されたこの傍聴記の中で彼女は、ユダヤ人移送の責任者アイヒマンを法律や権力者に忠実なだけの平凡な小役人として描き、さらに「ユダヤ人評議会」つまりユダヤ人自身がユダヤ人虐殺の過程に手を貸したと論じた(あるいは「論じている」と解釈された)。とりわけ後者の部分が大きな論争を呼んだこの本の、前者の部分すなわち「悪の陳腐さ(あるいは凡庸さ)」という主題に共感して製作されたのがこの映画である。凡庸で勤勉で忠実な人間が巨大な犯罪の加担者になってしまう恐ろしさ、アーレントの指摘・見解に沿ってこの作品は編集された・・・
   しかし、この映画の中のアイヒマンを「陳腐」で「凡庸」な人間という言葉だけで表現していいのだろうか。最初に観た際にも感じたのだが、アイヒマンの「ユダヤ人移送」における問題処理能力の優秀さはまさしく「スペシャリスト」と言えるものであり、「陳腐」で「凡庸」な「小役人」という言葉だけでは表現しきれないのではないか。優秀な官吏であり、しかし人間として大事なものが欠落している存在。今回も、映像はそのように訴えているように感じたし、であるからこそ「アイヒマン問題」は現代的テーマとなりうるのではないか。」(2005.8.27発行『越境するサル』№31「戦後60年目の<八月>に」より)

 

『映画の都』(1991  飯塚俊男)。1989年、アジア初の国際ドキュメンタリー映画祭が山形市で開催された。現在も続く「山形国際ドキュメンタリー映画祭」である。その模様を、飯塚俊男監督が記録した貴重なドキュメンタリーがこの『映画の都』だ。天安門事件、ベルリンの壁崩壊…激動の年に山形を目指し世界各国から集結する記録映画作家たち。彼らを待ち受けるスタッフと地元の人々。世界と出会う観客たち。そして、1本の作品もコンペティションにノミネートされなかったアジアの作家たちは、小川紳介が司会進行をつとめるティーチインで自分たちが抱える様々な課題と現状を訴え、宣言する。「アジアにおけるドキュメンタリー映画の種を蒔き、いつの日か風と共に舞い上がるであろう!」。編集は小川紳介。撮影は大津幸四郎と加藤孝信。まさに記念碑的作品である。今回、「harappa school」で「ドキュメンタリーの歴史をたどる」シリーズの講師をしている関係でじっくりと鑑賞したが、時代の熱気を感じた…

  『J:ビヨンド・フラメンコ』(2016  カルロス・サウラ)。「フラメンコ三部作」そして数々の舞踊音楽の芸術作品を世に送り出してきたスペイン映画界の巨匠、カルロス・サウラ。彼の生まれ故郷、スペインのアラゴン地方が発祥とされフラメンコのルーツのひとつである「ホタ」を通して、民族舞踊の多彩なスタイルを紹介する豪華なエンターテインメントショー。国民的フラメンコダンサー、サラ・バラスや、パコ・デ・ルシアの後継者と目され世界的に活躍するスーパーギタリスト、カニサレス…集結した最強のアーティスト陣の多彩なパーフォーマンスに酔いしれる90分。挿入された「スペイン内戦の記憶」が異彩を放つ。
 

 『レジスタンスなう! この歌は届きますか…?』(2017  原田圭輔)。2014年、沖縄・辺野古基地建設に反対する人々出会ったシンガーソングライター・川口真由美は、その後基地問題の実態と自らの平和への想いを歌に託し、彼らと連帯していく…彼女だけでなく、さまざまな人たちの反基地の行動と、弾圧の実態が描かれている「いま観るべき」ドキュメンタリー。ナレーションは月島紫音。
 

 『We Love Television?』(2017  土屋敏男)。アナログ放送から地上デジタル放送への切り替え期である2011年、「電波少年」シリーズなど数々の人気番組を手がけたプロデューサー土屋敏男はふたたび視聴率30%越えの番組の制作を目指して、萩本欽一に声をかける。実力派女優・田中美佐子と人気お笑い芸人・河本準一(次長課長)を共演者に、構成担当に放送作家・高須光聖、番組セット担当に猪子寿之率いるチームラボ…まったく新しい発想で動き出した番組制作の全貌を、この企画の発起人である土屋敏男が監督をつとめ、丹念に描いてゆく。萩本欽一の「遺書」とも言うべき、最初で最後のドキュメンタリー映画。
 

 『ラーメンヘッズ』(2018  重乃康紀)。専門誌のラーメン大賞を4年連続で受賞した「中華蕎麦  とみ田」(千葉  松戸)。ラーメン界を代表するこの店の店主・富田治に対する1年以上にわたる密着取材を中心に、日本のラーメン文化そのものを世界に向けて発信するドキュメンタリー。「谷ラーメン」(東京  有楽町)・「中華そば  井上」(東京  築地)・「鯛塩そば  灯火」(東京  曙橋)・「らぁめん  一福」(東京  初台)・「中華そば  葉山」(東京  牛込柳町)・「福寿」(東京  笹塚)…次々に登場する名店のこだわりを垣間見るだけでもエキサイティングな体験だが、後半、「とみ田」の10周年記念イベントで実現した、「らぁ麺屋  飯田商店」(神奈川  湯河原)店主・飯田将太と「Japanese Soba Noodles 蔦」(東京  巣鴨)店主・大西祐貴とのコラボで提供された200杯限定ラーメンの製作過程、そしてそのラーメンと出会うために行列するファンの姿は圧巻。


  テレビ・ドキュメンタリーからも数本。

   『“悪魔の医師”か“赤ひげ”か』(2018  ETV特集)。今年3月に放送されたノーナレ「“悪魔の医師”か“赤ひげ”か」(25分) の拡大版(60分)。2006年、宇和島市の万波誠医師が行った「病気(修復)腎移植」。がんなど病気の腎臓の患部を切除して移植するこの特殊な手術は、学会やマスコミから批判を受けたが、一方で患者たちからは支持する声も広がっていた。この論争(騒動)の経過と現状を、当事者たちの証言をもとに描く。

   『犬の骨の花』(2018  NNNドキュメント)。制作:青森放送。6年前、青森県立三本木農業高校の生徒たちが立ち上げた「命の花プロジェクト」。殺処分された犬や猫(捨てられたペットたち)の骨を砕き土に混ぜ、花を育てて頒布することで、命の尊さと殺処分の現状を伝えるという活動である。しかし、この番組で紹介された生徒たちの日々の生活(学習活動)は、このプロジェクトだけにとどまらない。常に「命」と向き合う真摯な姿、そして成長していく姿が、きっちり描かれている。秀作である。壇蜜のナレーションもいい。

  『黒い証拠 白い証拠~袴田事件 再審を問う』(2018  ドキュメントJ)。逮捕から48年ぶりに自由の身となった袴田巌さん。しかし、再審への道はまだ遠い…事件をめぐる当時の捜査、裁判の流れを検証し、権力と司法に翻弄された袴田さんと関係者の歳月を追う。2018年5月27日、SBS静岡放送「SBSスペシャル」でこの作品は放送された(BSTBS「ドキュメントJ」の放送は7月21日)が、その後の6月11日、東京高裁は再審開始を認めない判断。弁護側は最高裁に特別抗告。この番組の徹底した検証は、ますます意義深いものになっていくだろう。

   『私は私を全うする~佐々木ばあちゃんの熊本地震~』(2017  第26回FNSドキュメンタリー大賞・大賞受賞作品)。制作:テレビ熊本(2017年10月4日放送)。2016年4月14日、熊本地震で震度7を観測した熊本県の益城町。倒壊した家屋から脱出した佐々木君代さん(当時83)は、体育館の避難所に身を寄せるも1カ月で避難所を出て、全壊した自宅前の駐車場に廃材などを使ったテントを建てて暮らし始めた。「必ず、この地で家を再建する」と誓った彼女は、その後、ボランティア団体が用意したトレーラーハウスでの生活を経て、地震から4カ月後にようやく仮設団地へと入居。そして地震発生から1年後、ついに彼女は我が家を再建する…佐々木ばあちゃんの歩みの記録。

   『ダグマ~自爆テロへのボタン~』(2018  BS世界のドキュメンタリー)。原題:DUGMA The Button。制作:Medieoperatørene(ノルウェー  2016年)。シリア政府と戦うアルカイダ系の組織ナスラ戦線。自爆テロ志願者カスワラはサウジアラビア人、国に母と妻と生後すぐに別れた娘を残している。もうひとりの自爆テロ志願者バジールはロンドンで生まれ育ちイスラム教に改宗、新妻は懐妊したばかりだ。爆弾を満載した改造トラックで敵地に乗り込み、運転席のダグマ(起爆ボタン)を押す…この作戦に対する彼らの信念、心の迷いを、ノルウェーの制作班が密着して取材する。2017年のモンテカルロ・テレビ祭など多数の賞を受賞。

   『ママ・コロネル』(2018  BS世界のドキュメンタリー)。原題:MAMA COLONEL。制作:Mutotu Productions/Cinédoc Films(コンゴ民主共和国/フランス 2017年)。コンゴ民主共和国(旧ザイール)の地方都市キサンガニ。新たに赴任し“ママ・コロネル”(“お母ちゃん大佐”)と人々に慕われるオノリーヌ・ムンヨレは、かつての戦争で夫や子どもを殺された寡婦や呪術師に集団で虐待を受けた子どもたちの窮状を救おうと奮闘する…分断された被害者たち、地元社会による反対、山積みの問題を抱えながらも女性たちと子どもたちの為のシェルターを開設しようとする彼女の姿を、コンゴ出身の若手監督デュドネ・ハマディが追う。8月の「シリーズ 破戒」はこのほかに、『極右の妻たち~ギリシャ「黄金の夜明け」~』(ノルウェー  2017年)と『キューバ・リブレ  ラップで闘う』(アメリカ  2015年)の2本。もう1本放送予定だった『イラン  禁断の扉』は放送延期(10月予定)。すべて、注目作品。

   『KGBの刺客を追え』(2018  BS世界のドキュメンタリー)。原題:HUNTING THE KGB KILLERS。制作:True Vision Productions(イギリス  2017年)。2006年、ロシアの元スパイがロンドンで放射性物質を盛られて殺された「リトビネンコ事件」。当時の捜査員が語る、事件の「真実」とは。リトビネンコと面会したKGB関係者が立ち寄った寿司バーやホテルの部屋から検出された高濃度のポロニウム、モスクワへ飛んだイギリスの捜査員に襲いかかるロシア側の巧妙な妨害工作、そしてイギリス政府は「プーチン大統領が関与」と断定するが…いまも続く類似の事件を考えると、教訓に満ちたドキュメンタリーのように思える。9月の「シリーズ 虎の穴へ」はこのほかに、『美貌のスパイ  マタ・ハリ』(ドイツ  2017年)・『フランス諜報員の告白』(フランス  2017年)・『ワールドカップ招致 闇の攻防』(デンマーク  2018年)の3本。

   『馬三家からの手紙』(2018  BS世界のドキュメンタリー)。原題:Letter from Masanjia。制作:FLYING CLOUD PRODUCTIONS(カナダ  2018年)。思想犯などを収容する中国・馬三家収容所の実態が暴露され、世界的なニュースとなった。きっかけは、収容所での強制作業で作られ、アメリカに出荷されたギフト製品に隠された手紙。隠し入れたのは、法輪功のメンバーとして逮捕され収容所に送られた孫毅。手紙を見つけたのは、娘にハロウィンのプレゼントを買った主婦ジュリー。ニュースが流れた頃出所していた孫毅は、拷問や強制労働の実態を精密なアニメ画に描き、人権侵害を告発するための番組制作を開始する。そして彼は、国外に脱出する…9月の「シリーズ アニ × ドキュ」はこのほかに、『龍と闘う少女』(フランス  2016年)・『夜の孤独』(ノルウェー  2017年)・『乳牛たちのインティファーダ』(カナダ  2014年)の3本。「アニメ・ドキュメンタリー」の可能性を示す4本に注目せよ。


<後記>
   映画館のスクリーンでドキュメンタリー映画を、というわけにはいかなかったのがこの3ヶ月間。しかし、テレビ・ドキュメンタリーについては、いつものように多くの秀作と出会うことができた。放映情報をまめにチェックすることを、これからも心がけたい。。




(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。


2018年9月27日木曜日

【harappa Tsu-shin】「ひろさき美術館3 -コラボ×コラボ×コラボ-」

みなさん、こんにちは♪
9月1日から中央弘前駅のギャラリーまんなかにて開催していた「ひろさき美術館3」ですが、
先日、無事に終了しました!!!
期間中はたくさんの方々にお越しいただき、本当にありがとうございました!

ほんの少しですが、展示の様子をご紹介いたします♪



【part1/畑林和貴(絵画)×everything and nothing(サウンドインスタレーション)】


part2/塚本悦雄(彫刻)×蟻塚学(建築)】


【part3/木村顕彦(アッサンブラージュ)×渡辺由里香(アッサンブラージュ)】


【アーティストトーク】



コラボ展を3回立て続けで開催するという、ひろさき美術館では初めての試みでしたが、
3回全て見に来てくださる方も多く、本当に嬉しい限りでした!

出展作家の皆さん、足を運んでいただいた皆さん、開催にあたりご協力いただいた全ての皆さんに感謝いたします。

来年も、どこかで開催できれば、、、と実行委員会一同、これからまた模索する日々が始まります。
また皆さんに楽しい企画をお届けできるように頑張りますので、ぜひ応援よろしくお願いいたします♪




(harappaスタッフ=太田)


2018年9月20日木曜日

【越境するサル】№.178「カウリスマキ、オゾン、ジャームッシュ~上映会への誘い~」(2018.9.3発行)


929日、harappa映画館は「せつない。だけど、いとしい」と題して3本の「洋画」を上映する。ヨーロッパとアメリカ、土地も言語も監督の作風も違う3本だが、いまスクリーンで観る価値のある作品ばかりだ。必ずや弘前の観客に受け入れられるはずだ、と確信している

 
       「カウリスマキ、オゾン、ジャームッシュ~上映会への誘い~」

   「第28harappa映画館」で上映される作品は、『希望のかなた』(2017  アキ・カウリスマキ監督)・『婚約者の友人』(2016  フランソワ・オゾン監督)・『パターソン』(2016  ジム・ジャームッシュ監督)の3本。監督の名を聞いただけで、今度の上映会に行かなければと思うはずだ。

   『希望のかなた』は、その独特の作風で世界中の映画人の注目を集め日本でも熱狂的なファンを数多く持つ、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督の最新作(最後の作品とも言われる)。20093月、「第2harappa映画館」で「カウリスマキの遅い春」と題する特集上映が行われた(その時上映されたのは『罪と罰』・『浮き雲』・『マッチ工場の少女』・『コントラクト・キラー』の4本)が、弘前でもファンが多い監督である。2013年の「第14harappa映画館」で上映された前作『ル・アーヴルの靴みがき』(2011)も、かなりの好評を博した。『希望のかなた』は、その『ル・アーヴルの靴みがき』に続く難民3部作2作目として構想され、ベルリン国際映画祭(2017)で銀熊賞(監督賞)を受賞した。
   『希望のかなた』の舞台は、フィンランドの首都ヘルシンキ。
内戦が激化する故郷シリアを逃れた青年カーリドは、生き別れた妹を探して、この街に流れつく。難民危機のあおりで、難民申請を却下され、ネオナチからのいわれのない暴力にさらされるカーリド。しかし、レストランオーナーのヴィクストロムが彼に救いの手をさしのべる
主人公カーリドを演じるのはシリア人俳優シェルワン・ハジ。ヴィクストロム役のサカリ・クオスマネンをはじめとする個性的なカウリスマキ組の常連たちが、今回も脇を固める。
   次は監督からのメッセージだ。「私がこの映画で目指したのは、難民のことを哀れな犠牲者か、さもなければ社会に侵入しては仕事や妻や家や車をかすめ取る、ずうずうしい経済移民だと決めつけるヨーロッパの風潮を打ち砕くことです。」このメッセージを心に刻み付けて、『希望のかなた』に向かおう。



   『婚約者の友人』は、世界的に評価の高いフランスのフランソワ・オゾン監督の作品。オゾン監督は、カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペール、エマニュエル・ベアールなどフランス映画界のトップ女優陣を集結させた『8人の女たち』(2002)でベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を獲得、世界各国で大ヒットを記録した。そして、シャーロット・ランプリングを主演に迎えた『スイミング・プール』(2003)がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、以後数々の作品でその才能を発揮し続けた。この夏、日本公開された最新作『2重螺旋の恋人』(2017)も話題沸騰(9/2910/12、青森シネマディクトで上映予定)、いま世界で最も注目されている監督のひとりである。
   『婚約者の友人』は、1919年のドイツが舞台。婚約者フランツをフランスとの戦いで亡くしたアンナは、フランツの両親と共に悲嘆に暮れる日々を送っていた。ある日、アンナは見知らぬ男がフランツの墓に花を手向けて泣いているところを目撃する。アドリアンと名乗るその男は戦前のパリでフランツと知り合ったと話す。彼が語るフランツとの友情に、アンナもフランツの両親も癒やされていくがモノクロとカラーを織り交ぜた美しい映像で描いたミステリードラマ。アンナ役を演じたパウラ・ベーアは、第73回ベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。このパウラ・ベーアの演技を見るだけでも価値あり、と私は思う。



   『パターソン』は、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)でその独特のユーモアと新鮮な演出が絶賛され「ニューヨーク・インディーズ派」の若手映画監督として注目を浴びたジム・ジャームッシュの最新作。ジャームッシュ監督は、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』以降も話題作を発表し続け、『ミステリー・トレイン』(1989)がカンヌ国際映画祭芸術貢献賞を受賞、『ブロークン・フラワーズ』(2005)がカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞するなど、映画界に確固たる地位を築いた。なお、今回『パターソン』に出演している永瀬正敏は、工藤夕貴とともに『ミステリー・トレイン』に出演した。
   『パターソン』の主人公は、アメリカ・ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン(アダム・ドライバーが扮する)。朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む、そんな彼の何気ない日常が淡々と描かれる。そして、詩人でもあるパターソンにとって、ありふれた日常のすべてが美しいものだった大切な生活、大切な家族、大切な友人、大切な時間、私たちもまたパターソンのようにそれらを愛せるような気になる。そして、一人ひとりが詩人になれるような気がしてくる



   929日は、harappa映画館へ。

   日程等は次の通り。

   929日(土) 弘前中三8F・スペースアストロ

   「せつない。だけど、いとしい」

        10:30   『希望のかなた』(98分)
        13:30   『婚約者の友人』(113分)      
        16:00   『パターソン』(118分)
                              
   1回券 前売 1,000   当日 1,200  
   会員・学生 500
   3回券 2,500円(前売りのみの取り扱い)
   ※1作品ごとに1枚チケットが必要です。

   チケット取り扱い                                                       
       弘前中三、紀伊國屋書店、まちなか情報センター、弘前大学生協、
       コトリcafe(百石町展示館内)

   詳細は、次をクリックせよ。



<後記>

   今年度のharappa映画館は、9月・12月・3月の3回を予定している。もちろん私は、3回すべてに積極的に関わろうと思う。
   次号は、「珈琲放浪記~青森県の珈琲を歩く(2)~」か「今年出会ったドキュメンタリー  20187-9月期」。珈琲の取材状況次第




(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。



2018年9月5日水曜日

【harappa Tsu-shin】harappa映画館 前日準備・当日運営ボランティアスタッフ募集


「弘前のまちなかに映画館を!」と、
harappaが行っている上映会「harappa映画館」。
次回は、9月29日(土)に弘前中三8F・スペースアストロにて開催されます。

この上映会を一緒につくってくれるボランティアスタッフを募集しております。

◯前日準備 9/28(金) 15:00〜17:00頃
作業内容:スクリーン設置、客席・受付設営など
・交通費や謝礼はございませんので、ご了承ください

◯当日運営 9/29(土) 9:00〜19:00頃
作業内容:受付、会場案内など
・お弁当をご用意しております
・希望する上映作品をご覧いただけます
・交通費や謝礼はございませんので、ご了承ください

暗闇の中、物語が映し出される場をつくる面白さがあります。

少しでも興味のある方は、ぜひ事務局までご連絡くださいませ。
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2018年8月31日金曜日

【越境するサル】№.177「珈琲放浪記~函館、映画の記憶と珈琲~」(2018.8.29発行)


 825日、映画『きみの鳥はうたえる』の函館先行上映がスタートした(※注1)。函館出身の作家・佐藤泰志原作映画第4弾、待ちに待った公開である。もちろんその初日、私は駆けつけたが、今回、映画館のほかに、行ってみたい場所があった。それは珈琲に関わる場所であり、映画の記憶にもつながる場所だった…

 
             「珈琲放浪記~函館、映画の記憶と珈琲~」
  
  午前1046分、新幹線と在来線を乗り継いで、函館駅に到着した。これもちょうど初日のGLAY野外コンサートに向かう人々で混雑する函館駅を抜け出し、まず腹ごしらえに向かったのは自由市場。駅や朝市、ベイエリアや元町からできるだけ離れるのが賢明と思われた。駅から歩いて15分、新川町電停に近い自由市場を訪れるのは2回目だが、函館に来て最初の食事はここにしようと決めていた。海鮮を味わえる「カフェ」で刺身定食…映画館に向かう準備は整った。







  市電で五稜郭電停を目指す。そこから歩いて数分、市民映画館「シネマアイリス」にたどり着く。座席数66の小さな劇場だが、ミニシアター系の映画を中心に組まれたプログラムは充実していて、この映画館があるというだけで函館に住みたくなる。




  『きみの鳥はうたえる』は、佐藤泰志が1981年に発表した(『文藝』)長編小説で、第86回芥川賞候補となった。1982年には河出書房新社より出版された彼の最初の作品集(同名)に収録された。この作品について、かつて私は次のように紹介している。

  「『きみの鳥はうたえる』の主要な登場人物は3人。本屋の店員の『僕』と、同じ店で働く佐知子、『僕』と同居する失業中の静雄、21歳の3人の共同生活ともいえる夏の日々が描かれる。ジャズ喫茶、ビートルズへの思い、深夜映画館、若者がたむろす酒場…70年代そのもののような舞台設定の中、出会い・揺れ動く心・別れの予感・あやうい友情といった『青春小説』のすべての要素が詰め込まれたこの作品は、青春を描き続けた佐藤泰志の一つの到達点といえる。女1人に男2人という『黄金の組み合わせ』によるストーリー展開は他の佐藤作品に比べてもリズミカルで、思わず映画化されたものを観てみたいという誘惑に駆られてしまう。」(2006、『越境するサル』№39「佐藤泰志、きみの鳥はうたえるか?」より)



  今回映画化された作品では、舞台を原作の東京から現代の函館に移し、大胆な翻案がなされた。だが、「出会い・揺れ動く心・別れの予感・あやうい友情」という要素(というより骨格)は継承され、「函館の夏」を生きる青春の物語として強く印象に残る作品に仕上がっている。エンドロール後もまだまだ物語は続いていくと思わせる、このリアルさ、存在感は何だ…
  主役の「僕」には柄本佑、静雄には染谷将太、佐知子には石橋静河。若手実力派が揃った。監督は注目の新鋭・三宅唱。今年屈指の話題作になることは間違いない。



  佐藤泰志は、私にとって最も大切な作家のひとりであり、一連の映画化作品の上映もまた大切なイベントであった。この通信でも何度か、熱っぽく報告してきた(※注2)。
  最近では一昨年(2016年)、佐藤泰志原作映画第3弾『オーバー・フェンス』試写会の体験をもとに、「北海道新聞(道南版)」に紹介文を書かせてもらった。佐藤泰志とその原作映画とのつきあいは、いつまでも続きそうである…



  さて、佐藤泰志原作映画すべてのプロデュースに携わってきたのが、「シネマアイリス」オーナー菅原和博氏である。実は菅原氏は、喫茶店(珈琲店)も経営しているのだが、その店を訪れるのが今回のもうひとつの目的である。
  店の名は「水花月茶寮(みかづきさりょう)」。五稜郭電停から産業道路方面へ(というより産業道路の近くまで) キロ。富岡の住宅街の中にある「隠れ家」のような喫茶だ。





  思いのほか広い店内に驚きつつ、右手のカウンターに目を移す。ああ、ここが、かつて佐藤泰志原作映画第1弾『海炭市叙景』の撮影に使われたカウンターだ。映画の記憶が蘇る。ここに、喫茶店のマスター役のあがた森魚が立っていた…今回の『きみの鳥はうたえる』で撮影に使われたテーブル席も確認できた。石橋静河が座っていた椅子だ…




  「ブレンドB(ほろ苦)」と「チーズケーキ」のセットを注文する。ブレンドBは、懐かしい、記憶の中の北海道(というより札幌)の珈琲だった。フレンチローストだろうか。苦いのに、優しい味だ。チーズケーキも、癒される味だ。これほど珈琲やケーキをゆったりと味わえたのは、いつ以来だろうか…




  「シネマアイリス」のチラシや展示会のカードと一緒に、土産の珈琲豆(ブレンドBとマンデリン)を買って店を出た。また、いつか、いや近いうちに再び訪れることだろう。函館駅からのアクセスも、思っていたより簡単だった…

  午後8時発の列車で新函館北斗駅に向かい、そこから新幹線で新青森を目指した。出発前に、閉店が決まった「棒二森屋」デパートの中を歩き、その後、大門横丁界隈を彷徨った。
様変わりはしたが、相変わらず函館は「記憶の中の街」だった。





(※注1)
次は、公式ホームページ。
 http://kiminotori.com/

(※注2)
   次は、『越境するサル』№143「『函館発 佐藤泰志映画祭』~上映会への誘い~」(2016)。この号にはバックナンバーとして、「函館にて」(1996)・「佐藤泰志、きみの鳥はうたえるか?」(2006)・「『佐藤泰志作品集』、17年ぶりの再デビュー」(2008)・「『海炭市叙景』、函館先行上映」(2010)の4本も収録している。佐藤泰志について『越境するサル』に書いたのは、これですべてである。



<後記>
   とっておきの映画(映画館)と、とっておきの珈琲(珈琲店)。自分にとって大切なものに向かう旅。その前後の昼飯や夕飯、酒も含めて、最高の日帰り旅
   次号は、「上映会への誘い」。





(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。