2017年12月25日月曜日

【越境するサル】№.166「今年出会ったドキュメンタリー 2017年10-12月期」(2017.12.25発行)

2017年10-12月期に出会ったドキュメンタリーについて報告する。
 
 
        「今年出会ったドキュメンタリー 2017年10-12月期」

   201710月から12月までに観たドキュメンタリーを列挙する。映画の方はいつもの通りほとんどがDVDでの鑑賞。スクリーンで観たのは11本。「ヤマガタ」は、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」で鑑賞した作品。( )内は製作年と監督名と鑑賞場所等、はテレビ・ドキュメンタリー。

10月・・・『私はあなたのニグロではない』
      (2016 ラウル・ペックヤマガタ」) 
          『盗まれたロダン』
      (2017 クリストバル・バレンスエラ「ヤマガタ」) 
          『映画のない映画祭』
      (2015 ワン・ウォ  「ヤマガタ」) 
          『おてんとうさまがほしい』
      (1994 佐藤真構成・編集 「ヤマガタ」) 
          『ニッポン国VS泉南石綿村』(2017 原一男「ヤマガタ」)
          『激情の時』(2017 ジョアン・モレイラ・サレス「ヤマガタ」) 
          『阿賀の記憶』(2004 佐藤真 「ヤマガタ」) 
          『エクス・リブリスニューヨーク公共図書館』
      (2016 フレデリック・ワイズマン「ヤマガタ」) 
          『乱世備忘僕らの雨傘運動』
      (2016 チャン・ジーウン「ヤマガタ」) 
          『願いと揺らぎ』(2017 我妻和樹「ヤマガタ」) 
             
          『我が家の出産日記』(1994 佐藤真演出「ヤマガタ」) 
          『夢の原子炉~国家プロジェクトもんじゅと地元~』
      (2016 FNSドキュメンタリー大賞ノミネート)
          『放射能とトモダチ作戦』(2017 NNNドキュメント)
          『命の記録~写真家 桑原史成の水俣』
      (2017 サタデードキュメント)
          『村田諒太  父子でつかんだ世界王座』(2017 NHKスペシャル)
          『おしえてよ亀次郎』
      (2017 JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス)
          『私を見て  ミナマタから世界へ 魂の叫び』
      (2017 NNNドキュメント) 
               
11月・・・『日本と再生  光と風のギガワット作戦』
      (2017 河合弘之 脱原発弘前映画祭)
          『あなた、その川を渡らないで』(2014 チン・モヨン)                       

          『攻防 蜂の巣城~巨大公共事業との闘い4660日~』
      (2000 サタデードキュメント)
          『プラス4の世界~温暖化の果て  私たちの未来~』
      (2017 NNNドキュメント)
          『ソフトボール選手 藤田倭  二刀流!女性版 大谷翔平 2020東京へ』
      (2017 情熱大陸)
          『空港ピアノ~イタリア・シチリア島~』
      (2017 地球リアル)             
          『中国のゴッホ  本物への旅』(2017 BS世界のドキュメンタリー)
          『ロシア革命  100年後の真実』(2017 ETV特集)
          『ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』
      (2017 ノンフィクションW)
          『移民のうた  歌う旅人・松田美緒とたどる もう一つの日本の記憶』
      (2017 NNNドキュメント)         
          『北朝鮮  27年の映像記録~寺越事件 引き裂かれた母子~』
      (2017 テレメンタリー)   

12月・・・『祭の馬』(2013 松林要樹 サンプル)
          『息の跡』(2016 小森はるか サンプル)
          『被ばく牛と生きる』(2017 松原保 サンプル)             
          『ピカソ  燃ゆる晩年』
      (1988 デヴィッド・スイートマン)            

          『記憶の澱』(2017 NNNドキュメント)
          『アジア  自由への戦い』(2017 映像の世紀プレミアム)
          『反戦の紫電改~ちばてつや 平和の願い~』
      (2017 テレメンタリー)
          『極限への挑戦者たち』(2017 映像の世紀プレミアム)
          『砂川事件  60年後の問いかけ』(2017 ETV特集)
          『泣き虫舞妓ものがたり』(2017 ザ・ノンフィクション特別編)
          『ビンの中のお父さん』(2017 NNNドキュメント)
          『辰吉家の常識  世間の非常識』(2017 ノーナレ)
          『内戦からの旅立ち』(2017 BS世界のドキュメンタリー)
          『はりぼて~腐敗議会と記者たちの攻防』
      (2017 サタデードキュメント)

   毎回、「収穫」を選んでいるが、今回も数本紹介する。まず、映画から。

   10月、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」に出かけ、10本のドキュメンタリー映画を観た。この10本の内容は『越境するサル』№163で紹介しているので、そちらを参照してほしい。その中から、次の3本については特に再掲しておく。

   『ニッポン国VS泉南石綿村』(2017 原一男 「ヤマガタ」)。石綿(アスベスト)産業で栄えた大阪・泉南地域。この地のアスベスト被害の責任を求めて、工場の元労働者と家族、周辺住民らが起こした国家賠償請求訴訟の8年以上にわたる闘いの記録がこの作品である。裁判終結に至るまでの原告と弁護団の闘いのドラマを、原一男監督は見事に描き切った。原監督の代表作『ゆきゆきて神軍』(1987)や『全身小説家』(1994)は、ひとりの強烈なキャラクターの存在によって成立していたが、この作品の登場人物たちの個性もまた原監督によって引き出され、魅力的な群像劇となっている。上映後、ロビーで行われた質疑応答に登場した原監督と原告団の面々に対して熱い拍手が送られたが、それは間違いなく映画祭の中で最もエキサイティングなシーンのひとつだったのではないか。なお、この作品は、観客の投票で決定される市民賞を受賞した。順当な結果である。

   『乱世備忘僕らの雨傘運動』(2016 チャン・ジーウン 「ヤマガタ」)。2014年9月から2ヶ月半にわたって続いた香港の雨傘運動(雨傘革命)。香港の民主的選挙を求める若者たちの運動をその内部から記録した作品。警官との対峙・衝突の生々しい映像と、テントの中の若者たちの日常生活・本音の会話の映像。監督自ら最前線で撮影しその両方を記録したこのドキュメンタリーは、台北金馬奨で最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされた。なお、この作品は、アジアの若手・新人監督の登竜門であるアジア千波万波部門の最高賞・小川紳介賞を受賞した。

   『願いと揺らぎ』(2017 我妻和樹 「ヤマガタ」)。2011年3月11日、東日本大震災で地震と津波に襲われた宮城県南三陸町波伝谷(はでんや)。そこに暮らす人々の復興への願いと心の揺らぎを、伝統行事「お獅子さま」復活をめぐる過程を軸に描く。我妻和樹監督は、2005年から民俗調査のため波伝谷に入り続け、2008年からは波伝谷でのドキュメンタリー映画制作を開始。震災までの3年間の映像を『波伝谷に生きる人びと』(2013、劇場公開版は2014)にまとめ、この作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭2013「ともにある」で上映された。『願いと揺らぎ』は『波伝谷に生きる人びと』のその後である。

   次からは、「ヤマガタ」以降の「収穫」。

   『日本と再生  光と風のギガワット作戦』(2017 河合弘之 脱原発弘前映画祭)。初監督作『日本と原発』(2014)で日本の原発の問題点を余すところなく網羅した脱原発弁護士・河合弘之は、「原発を無くしても、自然エネルギーで地域も経済も再生できる」という信念のもと、世界の自然エネルギーの実情を知る旅に出た。ドイツ、デンマーク、中国、アメリカ数々のインタビューとデータで日本が世界に遅れていることを政治家や財界に示し、これからの日本における風力・太陽光・地熱等の可能性に言及する彼の語り口は楽天的でさえある。相手を論破するため、裁判で相手に勝つため、徹底的に必要な資料やデータを網羅するその戦い方そのままの映画こちらにも勇気が湧いてくる。


   『祭の馬』(2013 松林要樹 サンプル)。2007年、青森の牧場で生まれ、2010年、中山競馬場でデビューを果たした黒鹿毛の牡馬ミラーズクエスト。1勝もできずに地方競走馬登録を抹消された彼は、引退し福島県南相馬市で余生を送ることになった。そして、3月11日を迎える激しい津波の濁流から生還し、福島第一原発の事故による飢えと渇きの中で生き延びた彼を、『花と兵隊』(2008)・『相馬看花  第一部 奪われた土地の記憶』(2012)の映画作家・松林要樹が追い続ける。震災直後の福島県相馬から、冬から春の北海道日高、そして相馬野馬追の夏へ。彼の運命を通して、私たち人間の運命を映し出す、まぎれもない傑作。なおこの作品は『相馬看花』の第二部となる。


   『息の跡』(2016 小森はるか サンプル)。岩手県陸前高田市、津波で自宅兼店舗を流された佐藤貞一さんが、その跡地に建て営業を再開したプレハブの種苗店「佐藤たね屋」。手描きの看板、手掘りの井戸、すべて自力で作り上げた店で復興を目指す佐藤さんは、震災の体験を独習した英語で綴り自費出版。中国語やスペイン語での出版にも意欲を示す若き映像作家・小森はるかの劇場長編デビュー作は、「世界の果ての小さなたね屋」の寓話のような神話のようなドキュメンタリー。この作品は「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」の、東日本大震災が起きた2011年から続く特集「ともにある」で上映された(112分版)。劇場版は93分。

   『被ばく牛と生きる』(2017 松原保 サンプル)。2011年、東日本大震災と福島第一原発事故から2カ月後、国は原発から20キロ圏内の警戒区域内にいるすべての家畜を殺処分する指示を出す。多くの畜産農家が殺処分に応じることに追い込まれる中、十数軒の畜産農家が被ばく牛を生かそうと決意した。膨大な餌代を自己負担と支援によってまかないながら、経済的価値のない牛を生かし続ける人々。被ばく牛を生かす唯一の道は「大型動物による世界初の低線量被曝研究」に役立てることだが、国はこの研究から手を引いていく彼らの5年間を追う。ナレーションは竹下景子。


   『祭の馬』・『息の跡』・『被ばく牛と生きる』の3本は、2018年3月11日「harappa映画館」での上映候補作品の一部。サンプル版によって鑑賞したが、どれも弘前の観客に観てほしい作品である。

   テレビ・ドキュメンタリーからも数本。

   『我が家の出産日記』(1994 佐藤真演出 「ヤマガタ」)。佐藤監督が企画し、自らが家族とともに出演し、演出も担当したテレビドキュメンタリー(テレビ東京)。次女出産のため妻が入院し、家に残された佐藤監督と2歳の長女。この家族の怒涛の一週間を描く「家族日記」は、今まで見たどんなテレビドキュメンタリーよりも面白かった。軽快なリズムと際立つ個性、そしてペーソスもあり被写体である佐藤監督が今はもうこの世にいないのだという事実が、心に染みる。

   『放射能とトモダチ作戦』(2017 NNNドキュメント)。制作:日本テレビ。副題(?)「9人も死んでしまった...トモダチ作戦で頑張ってくれた若き米兵らが..原発事故の放射能で被曝し健康を害したとして..400人超が裁判を起こしている事をあなたは知っていますか?」がそのまま内容を表わしている。福島第一原発の事故の際、放射能物質の約8割は太平洋上に流れ込んでいたが、その時、米空母ロナルドレーガンはトモダチ作戦として東北沖で支援活動をしていた兵士たちの証言で綴る、放射能による健康被害の実態。

   『おしえてよ亀次郎』(2017 JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス)。昨年8月、TBS「報道の魂」のスペシャルとして放送された「米軍が最も恐れた男~あなたはカメジローを知っていますか」。TBSテレビ報道局の佐古忠彦がディレクターをつとめたこの番組は、沖縄戦後の米軍占領下でその圧政に立ち向かった政治家瀬長亀次郎の抵抗の人生を描き、ギャラクシー賞月間賞を受賞するなど高い評価を受けた(なお、2017年映画化され現在各地で公開されている)。『おしえてよ亀次郎』(BSTBSでは10月放送)は、その亀次郎のことを歌ったネーネーズの楽曲「おしえてよ亀次郎」とその誕生秘話、亀次郎を支えた妻・フミとのエピソードなどをコンパクトにまとめたドキュメンタリー。映画の方を、何とかして鑑賞しなければ。

   『攻防 蜂の巣城~巨大公共事業との闘い4660日~』(2000 サタデードキュメント)。制作:RKB毎日放送。「第27回(2001年)放送文化基金賞」テレビドキュメンタリー番組賞受賞作。熊本県筑後川上流下筌ダム、1960年代「蜂の巣城の攻防」で知られたダム建設反対運動のリーダー室原知幸の軌跡をたどる番組。14年にも及ぶ闘争と室原の孤立、敵対関係にあった建設事務所長や東京地裁判事との「信頼関係」、そして公共事業の在り方への問題提起…2000年に制作された作品だが、今も色あせない労作である。なお、1964年制作のテレビ・ドキュメンタリー『反骨の砦』(日本テレビ・ノンフィクション劇場、ディレクター大島渚・吉田実)もこの闘争と室原を取材した作品。こちらの方は、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2011」の特集「公開講座:私のテレビジョン 青春篇」で鑑賞した。

   『中国のゴッホ  本物への旅』(2017 BS世界のドキュメンタリー)。制作:Century Image Media/TRUEWORKS(中国・オランダ  2016)。原題:China’s Van Goghs。世界の名画の複製画の大半を製作する中国広東省深圳市・大芬油画村。ゴッホを専門にする絵師・シャオヨンは10万枚を超すゴッホの複製画を描いてきたが、まだ本物のゴッホを見たことがなかった。オランダを訪れる機会を得た彼は、初めて本物のゴッホと出会うアムステルダム、自身の絵が土産物店で売られていることにショックを受け、ゴッホ美術館で本物のゴッホ作品に感激し、フランス・アルルからパリ郊外オーヴェル墓地を訪問して中国に帰ってきた彼は、やがて家族や町の風景を描き始める。それは、複製画とは違う、自分のオリジナルの絵だ。

   『記憶の澱』(2017 NNNドキュメント)。制作:山口放送。第二次世界大戦の記憶。満州引揚者へのソ連兵の性暴力、大陸での日本兵による性暴力と捕虜・民間人殺害、虫けらのように若い兵士たちが殺されていった沖縄戦、敗戦後の満州開拓団が生き残るために下したソ連兵への「性接待」という決断心の奥底に「澱(おり)」のようにこびりついた「加害」と「被害」の記憶を「語り、残したい」という人々の声の貴重な記録。戦争がもたらすものは何かを、深く考えさせられる50分。語りは樹木希林。

   『砂川事件  60年後の問いかけ』(2017 ETV特集)。1957(昭和32)年、在日米軍基地に立ち入った基地反対派7人が起訴された砂川事件。東京地裁は「駐留米軍は違憲」として無罪の判決を下す。「伊達判決」である。しかし、跳躍上告された最高裁では差し戻し、有罪が確定した。その根拠は、高度に政治的な事例に対して司法は違憲審査を行わないとする「統治行為論」であった近年、アメリカ国立公文書館の秘密指定解除により外交文書が公開され、当時の米駐日大使と最高裁長官が接触し、ひそかに協議していたことが明らかになった。再審をめぐる現在の裁判の状況と、当時の裁判の背景を、再審の資料と証言で追う。

   『内戦からの旅立ち』(2017 BS世界のドキュメンタリー)。制作:ITN Productions(イギリス 2016)。原題:Children on the Frontline: The Escape。シリア内戦の前線アレッポ。反政府組織のリーダーである父親を武装組織ISに拉致された母親と4人の子は、難民としてトルコを経由してドイツに向かう。新しい環境の中、長男と3人の妹たちはそれぞれドイツに溶け込んでいくが、母は依然、沈みがちのままだ内戦の悲劇を家族の絆で乗り越えようとする一家を追う。なおこの作品は、BS世界のドキュメンタリー『シリア内戦  前線の子どもたち』(2014)の続編にあたる。  


<後記>

   10月の山形国際ドキュメンタリー映画祭で、ひさしぶりに多くのドキュメンタリー映画を堪能することができた。青森・八戸・盛岡の映画館に足をのばせば、映画祭以外でもたくさんの作品に出会うことができるのだがテレビ・ドキュメンタリーについては、放映情報をまめにチェックすることで少しずつ充実度を増している。思いがけない作品が、普通に放映されているのだ。
   次号はそろそろ、「『越境するサル』的生活」といきたいところだ。





(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。

  

2017年12月11日月曜日

【harappa Tsu-shin】「キッズ・アートViewing+創」開催しました♪

みなさん、こんにちは!
12月2日・3日は弘前駅前ヒロロにて、
障害者週間記念イベント『hug はぐ hoick!』が開催されていました♪
その中での「キッズ・アートViewing+創」の展示を昨年に引き続き、
今年もharappaがお手伝いさせていただきましたよ♪

それでは、応募してくれた皆さんの力作をご紹介していきます♪

こちらは、弘前第一養護学校と弘前第二養護学校の生徒さんの作品。
カラフルな画鋲や布で表現された「岩木山」と
マーブルに染められた「マーブリングハンカチ」です♪
同じ題材なのに、よーく見ると一人ひとりの個性が感じられます♪

こちらは「さわらびフレンドクラス」さん達の作品「春の弘前城」
ちぎり絵で細かく表現された弘前城や石垣がお見事です!
ピンクの桜や空のグラデーションもキレイですね♪

こちらは書道作品のコーナーです♪
みんな思い思いに筆を動かしているのが分かりますね♪

こちらの作品はさわらび療育福祉センターの生徒さんの作品「プリン」と「桜の紅葉」
とってもおいしそうなプリンです♪

こちらは弘大付属特別支援学校の皆さんの作品です。
絵を見ているだけでワクワクする作品たちですが、
「いつも楽しくくらしてそうな人」や「かんばやし先生のぼうし」など、
タイトルをみるとさらに心を鷲掴みにされちゃいます!

こちらは弘前第二養護学校の皆さんの春夏秋冬シリーズです♪
「春 おぼろ月夜」「夏 うみ」「秋 もみじ」「冬 きよしこの夜」と
大きな画用紙いっぱいに季節を表現してくれました♪

こちらは弘前第二養護学校「くらげミュージアム」♪
キラキラ感とゆらゆら感が海の中のくらげの幻想的な雰囲気にぴったりですね♪

こちらの作品はさわらび療育福祉センターの生徒さんの作品で
「お正月壁かけ」です♪
粘土細工の作品なんですが、カラフルで楽しい作品でした♪

こちらは弘前第二養護学校の生徒さんたちの作品♪
ペットボトルサンタとサンタ人形です♪
この季節らしい賑やかなクリスマスコーナーになりました♪


今年もたくさんの生徒さんの応募で「キッズ・アートViewing+創」を開催することができました♪
ご協力いただいた皆さん、見に来てくださった皆さん、本当にありがとうございました!!

来年はどんな楽しい作品に出合えるのか今からとっても楽しみです♪



(harappaスタッフ=太田)

2017年12月4日月曜日

【harappa Tsu-shin】第26回harappa映画館「弘前出身、木村文洋監督特集」

みなさん、こんにちは!
先週末はharappa映画館「弘前出身、木村文洋監督特集」を開催しました♪
上映作品は、木村監督の最新作「息衝く」と「へばの」の2作品。

上映会タイトルにもなっているように、弘前市出身の木村文洋監督ですが、
最新作「息衝く」の国内初上映ということで、たくさんのお客さんがお越しくださいました。

木村監督とプロデューサーの桑原さんにもご来場いただき、
「へばの」上映前の舞台挨拶をしてくださいました。

1回目の「息衝く」上映後には、「木村文洋監督、同世代と語る」と題して、
木村監督と、監督と同世代で弘前で活動をしていらっしゃる3人、蟻塚学(建築家)、
船越太郎(記者)、山本純平(林檎農家)によるトークが行われました。

同世代同士による楽しいトークイベントとなりました♪

そして、2回目の「息衝く」上映後には、木村監督と桑原プロデューサーによるシネマトークも開催され、今回もとても濃密な上映会となりました。

木村監督、プロデューサーの桑原さん、ゲストの皆さん、
ご来場いただいた皆さん、本当にありがとうございました!


今回は会場にお花も届いていましたよ♪
キレイですね♪


そして、残念ながら今回見逃してしまった皆さんに朗報です!!
来年1月13日(土)、14日(日)と青森県立美術館にて「PHASE ファーゼ 2017 映画監督 木村文洋」として、
最新作『息衝く』を含む、木村監督3作品をご覧いただけます!
今回のharappa映画館に行けなかった方も、もう1回観たいという方もぜひ足をお運びください。
詳しくは 青森県立美術館のウェブサイトをご覧ください。
http://www.aomori-museum.jp/ja/event/75/


次回のharappa映画館に向けて、現在着々と進行中です。
詳細が決まりましたらharappaのWEB上でお知らせしますので、
ぜひ楽しみにお待ちください。



(harappaスタッフ=太田)

【harappa Tsu-shin】gallery wagon「TAKE ME TO SOURCE」♪

みなさん、こんにちは!
先月、11月12日に弘前市立百石町展示館前で開催したgallery wagonのご報告です。
本当は11日に旧市立図書館前での開催予定だったのですが、
あいにくの雨だった為、12日に延期になっての開催となりました。
12日も気温は低く、朝は小雨もちらつきましたが、何とかお天気も回復し、
たくさんのお客さんにお越しいただきました♪

今回の作家さんは、ニューヨーク生まれニューヨーク育ちで、
現在、初めての日本暮らしをしながら弘前で活動をしている風間明さん。
マルチ・メディア・アーチストとして、絵、彫刻、写真、ビデオ、インスタレーションなど、
多岐にわたって表現している明さんですが、
今回はgallery wagonを使ってインスタレーション作品として展示をしてくださいました!
いつもは黄色と白がトレードマークのgallery wagonですが、
今回は黄色・赤・ゴールドの色合いがとても目を引きますね!

中は小部屋のような空間になっていて、立体作品や映像作品、イラストが展示されています。
ついつい顔を突っ込んで細部まで見たくなる作品ですね。

外壁のイラストもとてもおもしろかったです♪

壁一面に貼られたイラストが圧巻です!

ピンクの風呂椅子に乗った子が愛らしいですね♪
手ぬぐいがお似合いです♪

移動できるギャラリーとして今までたくさんの作家さんに展示をしていただきましたが、
今回はwagon自体を作品の一部として使っていただいて、本当に嬉しい展示となりました。
もっと大きな空間でも明さんの作品を見てみたいな、と思う展示内容だったのではないかと思います。

風間明さん、寒い中お越しいただいた皆さん、本当にありがとうございました!

今年度はもうgallery wagonの開催予定はないので、
また来年度、楽しい展示を企画してたくさん街なかに繰り出せるようにがんばりたいと思います!



(harappaスタッフ=太田)

2017年11月15日水曜日

【harappa Tsu-shin】「ひろさき美術館2-Silent Studies-」

10月20日(金)~11月12日(日)まで旧市立図書館で開催していた
「ひろさき美術館2-Silent Studies-」ですが、お陰様で無事に終了いたしました♪
旧市立図書館は弘前市の歴史および弘前市民の記憶を伝える建築物であり、
弘前の文化の持続・共有を語るには欠かせない、弘前市民の知の象徴と言えます。
そんな旧市立図書館を舞台に、3名の作家が「Silent Studies」をテーマに展示を行いました。
今回は展示の様子を少しご紹介いたします♪


「関典子×婦人閲覧室」
旧市立図書館のおごそかな雰囲気と関さんの作品がとても合っている展示でした。
まるで昔からそこにあるようなマッチぶりでした。
ぱっと見ただけでは分からない細やかで丁寧な技法に魅せられ、
一つ一つの作品をじっくり見てくださるお客様が多かったです♪



「斎藤啓司×図書室」
「一縷」
“知”を象徴するアナログ的ツールの一つ、鉛筆。
脆く折れやすい鉛筆の芯を、只々ひたすらに物理的に自立出来る限りで、工芸的修復技法である金継技法を用い接続・積重した作品。
津軽という場所や人が教養や文化的意識に深く根ざしたものであってほしいという勝手な強い願いを、賽の河原の積み石のごとく願いを念じながら、折れ続けながらも一つ一つ執拗に積み上げた作品。(作者解説より)
「二十歳のころ」プロジェクト」
本の色彩や形状も含めた物質としての造形性という視覚的感覚的な要素と、インスタレーションされた内容や文脈に依拠するグラデーションや論理・思考的要素という、表象とコンテクストの二つの要素から構成することで、本棚全体を一つの作品と見立てた。(作者解説より)    
 「analysis for bricolage (文房具)」
ある用途性を持った道具を可能な限り分解することから、用途性を排除することで一つ一つのパーツを美術としての固有の物質と見立て、造形化・彫刻化するために工芸的技法(金泥・銀泥技法など)を援用することでささやかに介入し装飾を施す。(作者解説より)
 部屋に入ると、まず鉛筆の長さに驚く声があがっていました♪
皆さんからお借りした本で完成された「二十歳のころ」プロジェクト」の本棚は、
自分が読んだことのある本や、本の整列の繋がりをみるととても面白い作品となりました。

「橋本尚恣×評議室」
 「カタコトテリトリー」
「カタコトテリトリー」はもとからあった本棚を活かした展示作品で、
まるでそこにあるのが当たり前であるかのような安定感がありました。
そしてもう一つ、実は2階閲覧室の展示ケースにこっそり橋本さんの展示スペースもありました♪
作品のネタ帳とも言える貴重なものを公開してくださっていました。
こちらもとても面白かったです♪


今回もたくさんの方々にご覧いただけて、本当に嬉しく思います。
展示作品はもちろん、建物自体も楽しんでいただきたいという想いも強いので、
旧市立図書館に初めて入ったという市民の方々の声を聞いて、とても嬉しかったです。
弘前には素敵な建物がまだまだたくさんあります。
そして、素敵な地元作家さんもまだまだたくさんいらっしゃいます!
来年度以降もぜひ開催していけるように頑張りたいと思いますので、
ぜひ応援よろしくお願いいたします。


(harappaスタッフ=太田)

2017年11月14日火曜日

【越境するサル】№.165「木村文洋監督、〈もうひとつの家族〉の物語~上映会への誘い~」(2017.11.12発行)

12月2日、harappa映画館は弘前出身の若手映画監督・木村文洋の新作『息衝く』(2017)を上映する。木村監督作品としては、『へばの』(2008)・『愛のゆくえ(仮)』(2012)に続く3本目の上映である。併映の『へばの』が『息衝く』の前篇とも言うべき作品であることを考えれば、〈家族の物語〉に対する木村監督のこだわりの、ひとつの到達点を私たちが見届ける上映となるはずである。

 
    「木村文洋監督、〈もうひとつの家族〉の物語~上映会への誘い~」

  今年2月、東京銀座8丁目・国映TCC試写室で行われた『息衝く』試写会に駆けつけた。その上映中、私はずっと「この映画は今までのどの映画とも違う、まだ誰も見たことのない映画だ」と思い続けていた。決して手放しで称賛しているわけではない。実際のところ、息をのむような素晴らしいショットや展開と、観客の予測を裏切るストーリー構成が、時には高揚感を時には焦燥感を私に与え、振りまわされた私は結果として立ち尽くすほかなかった。だが、それでもそこに何か輝きのようなものを見たような気がしたのだ
  
   六ヶ所村核燃料再処理工場で内部被曝に襲われた男と、彼と結婚するはずだった女の別れと再会、そして父と娘の〈家族〉の物語『へばの』から8年。この間私たちは「3.11」を経験し、木村監督は『へばの』の続篇となる、青森を出た母と息子の物語を必死で紡いでいた。その途中、オウム逃亡犯を題材とした『愛のゆくえ(仮)』で見事な切れ味を示したが、私たちはずっと〈もうひとつの家族〉の物語の完成を待ち望んでいた。

  こうしてついに完成した『息衝く』には、何と多くの、消化しきれないほどの、テーマが描き込まれていることだろう。母と子が東京で生きていくこと、宗教を心の拠り所として活動していくこと、政治活動に身を捧げさまざまな矛盾の中で心身をすり減らしていくこと、人と人の絆が時には強く時には脆いということそれらすべてが、群像劇として私たちの前に投げ出される。その重さを、私たちはそのまま受けとめなければならないのだが、それはなんともきつい作業だ。

   『へばの』から『息衝く』へ、ひとまず完結したこの物語を多くの人に観てもらいたいと思う。そのあとで、議論をしてみたい。とりわけ『息衝く』の不思議なリアリティと、不安定さについて。あるいは、この先、木村文洋はどこに向かい、どこにたどり着くのか、について。

   まずは上映会へ。


日程等は次の通り。

12月2日(土) 弘前中三8F・スペースアストロ

「弘前出身、木村文洋監督特集 
    青森から東京へー『もうひとつの家族』の物語」

      10:30   『息衝く』(130分)
         上映後、木村文洋監督によるシネマトーク
      14:30   『へばの』(81分)      
      16:30   『息衝く』(130分)
         上映後、木村文洋監督によるシネマトーク

1回券 前売 1000   当日 1200  
会員・学生 500 
 1作品ごとに1枚チケットが必要です。

チケット取り扱い                                                       
    弘前中三、紀伊國屋書店、まちなか情報センター、弘前大学生協、
    コトリcafe(百石町展示館内)

詳細は、次をクリックせよ。



<後記>

   映画を人に紹介することの難しさを、今回ほど痛感したことはない。上映会のチラシのキャッチコピーからリード文、2本の映画の内容、さらにこの「上映会への誘い」。ただストーリーを並べただけでは伝わらない何かについて必死に考え、必死に発信しようともがいたこの一カ月半だった。

   上映会の『息衝く』最後の回のあとのシネマトークに私も参加する。その時まで、もがき続けることになりそうだ。




(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。

2017年10月24日火曜日

【越境するサル】№.164「珈琲放浪記~山形で『自家焙煎深煎り珈琲』に出会った~」(2017.10.21発行)

 この10月、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」で山形市を訪れた。その概要はすでにこの通信で報告しているが(※注)、今回の映画祭期間中に出会った珈琲についても紹介したいと思う。何度もこの街を訪れながら、実はまだ「珈琲放浪記」で山形を紹介したことがなかった。それは、私の求める「自家焙煎深煎り」の珈琲となかなか出会わなかったからだが、今回の旅でついにお気に入りの味と出会った。それも3店。今後何度も訪れるであろうこの街が、「珈琲放浪」にとっても重要な場所になった。

 
        「珈琲放浪記~山形で『自家焙煎深煎り珈琲』に出会った~」

  出発のかなり前から、山形市内の自家焙煎珈琲の店をネット検索等で調べ始めた。そして、ここ1~2年の間に開店した2軒の店が自分の好みに合うのでは、と思うようになった。映画祭の会場や中心街ともほど近く、これはもう時間を作って行くしかない。「珈琲放浪」のスタートだ…


1 「ボタコーヒー(BOTA coffee)」山形市七日町

  かつて、いくつもの映画館が立ち並んでいた七日町「シネマ通り」。「ボタコーヒー」の店内に足を踏み入れると、なにやら既視感のようなものに包まれている自分に気づく。100年続いた「洋傘のスズキ」の建物をそのまま利用し、内壁はむき出しのコンクリート。一見無造作に置かれた椅子やテーブルと薄暗い室内。雰囲気はまるで「いまどきのカフェ」のようにも見えるが、珈琲の質に対する頑固さは並大抵ではない。
  若い店主が丁寧にドリップする自家焙煎深煎りの「ボタブレンド」は、しっかりとした苦みを特徴としながらも、なぜか優しさも兼ね備えている。珈琲は通常この「ボタブレンド」のみ。柔らかな人当たりの店主だが、珈琲に関しては最高のものを求めて、試行錯誤を繰り返している。そう感じた…2度目に訪れた際、同じく「ボタブレンド」のアイスをスイーツとともに注文したが、これもなかなかのものだった。
  自宅でいろいろと試してみたいと思い、ブレンドの豆100gを購入した。



  
2 「蔵王の森焙煎工房 旅篭町店」山形市旅篭町

  山形美術館界隈はもともとお気に入りのエリアだった。映画祭でもたびたび美術館を会場とする企画のために訪れ、公園のベンチで休んだり、近くの古書店に立ち寄ったり、まあちょっとした休息のためには便利なエリアだったのだ。その近くに自家焙煎の珈琲店ができた。「蔵王の森焙煎工房 旅篭町店」である。ちょうど映画祭期間中、美術館前にテントを立てて出店していたので、店の方も営業していることを確認し訪れた。
  美術館から徒歩で5分もかからない距離にある店に着く。棚一面に置かれた各種ブレンドとストレートの豆の壜に目をやり、それぞれの豆の焙煎の度合いを店の人に確かめる。その中から選んだのが「インカのめぐみブレンド」。店内のテーブルで早速飲ませてもらう。フルシティローストとあるが、フレンチローストにかなり近い感じだ。マンデリン40パーセント、苦みとコクは充分、しかもすっきりとした喉越し。途中から少量の砂糖を加え、一気に飲み干す。これは職場に持ち帰って同僚に振る舞うべき珈琲だと思い、豆200gを購入。ついでに自分用に、これもフレンチローストに近いと思われるストレート「ケニヤ」100g購入。
  いい買い物ができた、という充実感とともに店を出た。




3 「自家焙煎珈琲ひぐらし」鶴岡市日吉町(山形市民会館前で出店)

  映画祭の期間中、土日月の3日間、山形市民会館の前に移動販売車で出店していたのが「自家焙煎珈琲ひぐらし」である。ちょうど出店初日の夕方、映画と映画の合間に思い切って珈琲を注文してみた。「86ブレンド」、この店のスタンダードらしい。何と、期待をはるかに上回る絶品の味。苦みと切れ味が見事にマッチした、完全に私好みの深煎り。こういう偶然の出会いがあるからイベントは面白い。
  「ひぐらし」は山形県鶴岡市の店舗を持たない珈琲店で、山形県と宮城県のイベントへの移動販売車による出店と配達・発送を主にしているとのこと。京都「自家焙煎珈琲ガロ」で焙煎技術を学んだということで、試しに豆も購入したが、なるほど納得できる豆の色だ。
  今回の映画祭では、朝の時間がかなりのラッシュだったようだが当然だろう。朝、気軽に美味しい珈琲を飲んで映画に向かう。あわただしいスケジュールの中、映画祭参加者にとっては素敵な贅沢である。滞在最終日も、もちろんここで珈琲を飲んでから、目指す会場に向かった…



  3つの店の豆を弘前に持ち帰り、毎日自宅で飲み続けている。すべて私の求める水準を超える美味しさである。今月いっぱい、「山形珈琲放浪」は続く。


(※注)
『越境するサル』№163「4年ぶり、映画の都へ~『山形国際ドキュメンタリー映画祭2017』~」
   http://npoharappa.blogspot.jp/2017/10/163-4201720171015.html


<後記>

   「ヤマガタ」2本目の通信を発信する。4年ぶりの映画祭で、書きたいものがたくさんあったのだ。調子に乗って、山形のワインについても書こうと思ったが、それは別の機会にする。

   次号は、harappa映画館「弘前出身、木村文洋監督特集」の紹介。





(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。