2013年11月6日水曜日

【つむじ風】10号 「岩木には宵待草がよく似合う」


♪待てど暮らせど来ぬ人を

宵待草のやるせなさ♪


植物学的には、「マツヨイグサ(待宵草)」。夕刻に開花して夜の間咲き続け、よく朝には萎んでしまう。大正浪漫を代表する画家・詩人、恋多き竹久夢二のつかの間の恋の物語。その相手の女性は、他の人と結婚し、今は夫の出身地である和歌山県新宮市のお墓に共に眠っているという。


かつて、私の恋の相手であった和歌山出身の彼とは、いろんな映画を一緒に観た。映画監督志望だけに、いい映画ばかり教えてくれたのだと思う・・・偏っていたかもしれないが。そんな私の、日本映画のベスト3は、神代辰巳監督の「赫い髪の女」(中上健次の原作も大好きなことは言うまでもない)、田中登監督の「色情めす市場(まるひしきじょうめすいちば)」、黒木和雄監督の「祭りの準備」、のようだ。のようだ、というのは他にも沢山あるような気がするのだが、咄嗟に思いついたのは、この三本だったから。三本のうちの二本は、日活ロマンポルノ。裸さえあれば後は何をやってもいいと、若い監督たちが自由に映画を作れたのだという。


今まで、色んな要素が重なって「赫い髪の女」を一番だと思っていたが、もしかして「色情めす市場」が一番かもしれない。ロマンポルノとして観た場合は、「抜きどころがまるでない」、という理由から最低らしい。しかし、この映画、一度しか観ていないのに、この記憶力の悪い私の桃色の脳細胞に(名探偵ポワロ風に)、場面場面がこびりついたままである。特に、白痴の弟のあのシーン。春を売って釜ヶ崎で生きる姉。その姉を演じているのが芹明香で、「祭の準備」にも出ていた。


彼女は、『弘前りんご映画祭』で上映される、神代辰巳監督の「宵待草」にも出ている。この映画も、二人で借りたと思っていたのだが、私だけ観なかったのか、ただの記憶違いなのか、内容を覚えていない。これは、この機会にぜひとも観なければ。当時の弘前の様々な風景も映し出されているのだという。


出来れば、あの人と一緒に私の故郷で観たかったなぁ・・・なんてね。


♪今宵は月も出ぬさうな♪

(harappaメンバーズ=KIRIKO)

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