2015年4月10日金曜日

【harappa Tsu-shin】「夜行庭園」開催しました♪

みなさん、こんにちは!!
寒い日も少し続きましたが、
来週には桜が咲いているなんてルンルンですね♪

さて、少し遅くなってしまいましたが、
先月、28日に開催した「夜行庭園」についてご報告します!

場所は、藤田記念庭園洋館♪
喫茶スペースも開放していただき、
本当にたくさんの方々にご来場いただきました!

出演者トップバッターは鳴海徹朗さん♪
少しずつ暮れていく洋館の雰囲気と鳴海さんの音楽がぴったりです♪

お次はnicotoneさん♪
明るくポップなサウンドにお客さんも楽しそうです♪

3番手はオオシマコウスケ&HORNSさん♪
今日の出演者では唯一のバンド編成ということで、
会場を一気に盛り上げてくださいました♪

そして!そして!!
最後はヨーコトリヤベさんです♪
前からこの洋館で歌ってみたかったというトリヤベさん♪
洋館に響き渡るステキな音楽にお客さんも聞き入っていました♪

夜の藤田記念庭園洋館!!
会場の雰囲気も然ることながら、
ご出演いただいた4組のアーティストの音楽を、
じっくり味わうことができたイベントになったのではないかと思います♪

ご来場いただいたみなさん、
ご出演いただいたアーティストのみなさん、
ご協力いただいた大正浪漫喫茶室のみなさん、
弘前アートプロジェクト実行委員会のみなさん、
本当に、本当にありがとうございました♪

また、こんな素敵なイベントが開催できればいいなと思っております♪



(harappaスタッフ=太田)





2015年4月8日水曜日

【越境するサル】№137 「今年出会ったドキュメンタリー 2014年1-3月期」


2015年1-3月期に出会ったドキュメンタリーについて報告する。

 3ヶ月ごとに報告を行うようになって2年目。

多くのテレビ・ドキュメンタリーを紹介できるようになった。

 

    「今年出会ったドキュメンタリー 2014年1-3月期」


   2015年1月から3月までに観たドキュメンタリーを列挙する。映画の方はほとんどがDVDでの鑑賞であるが、3月に6本、スクリーンで観ることができた。( )内は製作年と監督名と鑑賞場所等、「最前線」は、harappa映画館「ドキュメンタリー最前線2015。※はテレビ・ドキュメンタリー。

 1月・・・『VERA 68~五輪の名花チャスラフスカ 栄光と失意の五十年~』
     (2012 オルガ・ソメロバー)
           『福島の未来 0.23μSv』(2013 イ・ホンギ)
           『ファイアbyルブタン』(2012 ブリュノ・ユラン)                                  
     『戦後史証言プロジェクト 日本人は何をめざしてきたのか 第5回~第8回
      (「知の巨人たち」)』(2015 NHKEテレ)※              
     『THE ’60s:「ジョン・F・ケネディ暗殺」』(2015 スターチャンネル )※            

           『わたしの村は燃えている~インド~』(2015 発掘アジアドキュメンタリー)※
           『レベル1~見過ごされた予兆~』(2015 テレメンタリー)※
           『カンフー・ガールズ~台湾~』(2015 発掘アジアドキュメンタリー)※
          『100歳、叫ぶ  元従軍記者の戦争反対』(2015 NNNドキュメント)※
     『祖国を引き裂いた真珠湾~日系二世のゼロ戦~』(2015 TBS報道の魂)
          『実録 アイヒマン裁判』(2015 BS世界のドキュメンタリー)※ 
           『悲願~再審の扉と証拠開示』(2015 テレメンタリー)※
                    
  2月・・・『アメリカ通り』(2008 キム・ドンリョン 「小川紳介賞」
            『パーソナル・ソング Alive Inside」(2014 マイケル・ロサト=ベネット
            『中国・日本 わたしの国』(2013 ちと瀬千比呂)    
            
         『湯気の向こうに 大将と女将 ときどき、おでん』(2015 NNNドキュメント)※
      『「清掃のプロ」スペシャル』(2015 プロフェッショナル 仕事の流儀)※
             『住民帰還~福島・楢葉町 模索の日々~』(2015 ETV特集)※
             『裁判官はその目を閉ざした~高知白バイ衝突死 疑惑の証拠はどう裁かれたのか~』
      (2015 テレメンタリー)※

             『アフガニスタンの遠い春~密着 陸軍重兵器中隊~』(2015 ドキュメンタリーWAVE)※
      『フルシチョフ アメリカを行く』(2015 BS世界のドキュメンタリー)※
            『アンジェイ・ワイダ 若き映画人たちへ贈る授業』(2015 ノンフィクションW)※
      『報道は“罪”なのか~エジプト 拘束された記者たち~』(2015 ドキュメンタリーWAVE)※
             『薬禍の歳月~サリドマイド事件・50年~』(2015 ETV特集)※         
            
  3月・・・『無人地帯』(2012 藤原敏史)
            『日本と原発』(2014 河合弘之 「脱原発弘前映画祭」
            『フタバから遠く離れて 第二部』(2014 船橋淳 「harappa映画館      
      『消えた画 クメール・ルージュの真実』(2013 リティ・パニュ 「最前線」再
            『ある精肉店のはなし』(2013 纐纈あや 「最前線」再)
            『ふたつの祖国、ひとつの愛ーイ・ジュンソプの妻ー』(2013 酒井充子 「最前線」)
            『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』
      (2014 フレデリック・ワイズマン 仙台チノ・ラヴィータ)      
             『ふたりの約束 魂の惣菜』(2015 プロフェッショナル 仕事の流儀)※
             『シリーズ 危険な時代に生きる 第1回~第4回』(2015 BS世界のドキュメンタリー)※
             『“3.11”を忘れない54 分断の町』(2015 テレメンタリー)※
             『父が消えて』(2015 極私的ドキュメント にっぽんリアル)※
             『漫画で人間社会を問う~東北の異端・いがらしみきお~』(2015 ノンフィクションW)※
             『冷戦終結 首脳たちの交渉~ゴルバチョフが語る舞台裏~』(2015 ETV特集)※
      『生態学者・田邊優貴子』(2015 情熱大陸
      『阪神・淡路大震災から20年② ガレキの街の明暗~誰のための復興か~
       (2015 NNNドキュメント)※
       
   2015年1-3月期の印象に残った作品について数本紹介する。まず、映画から。

  『VERA 68~五輪の名花チャスラフスカ 栄光と失意の五十年~』(2012 オルガ・ソメロバー)。NHKBS1で1月2日に放送されたチェコ制作のドキュメンタリー映画。東京五輪そしてメキシコ五輪の女子体操金メダリストである ベラ・チャスラフスカの、波乱に満ちた人生の物語。「五輪の名花」と親しまれた選手時代、母国の民主化運動「プラハの春」への支持を貫いたため加えられた 当局の圧力に耐えた1968年以降、1989年のビロード革命による復権…ベラ自身がフィルムとともに語る貴重な記録。この放送自体が特筆すべき出来事。
   『福島の未来 0.23μSv』(2013 イ・ホンギ)。韓国のイ・ホンギ監督による福島の未来への警鐘。放射能測定器で線量をチェックすることが日常となった人々、彼らを含む全国から集まった 17人の市民は、1986年に原子力事故が起きた旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所を訪問する。現在も続く、放射能が引き起こした被害。中でも深刻な子 どもたちへの影響、それは福島の明日かもしれない。
 
 『アメリカ通り』(2008 キム・ドンリョン 「小川紳介賞」)。米 軍基地の街東豆川(トンドゥチョン)市の一角にある「アメリカ通り」。この街のクラブで働くロシア人、フィリピン人女性たち、ここで40年以上働いてきた 韓国人女性「K」…米軍基地の街で「不法就労」も辞さず米兵や仲間たちと生活を続けていく彼女たちをカメラは記録する。この作品は「山形国際ドキュメンタ リー映画祭 2009」の「アジア千波万波」部門(アジアの新人監督の登竜門)最優秀賞「小川紳介賞」を受賞した。一昨年、「BSスカパー」で過去の受賞作5本が放送 されたが、まさに珠玉の作品揃いであった。
 
 『パーソナル・ソング Alive Inside」(2014 マイケル・ロサト=ベネット )。 認知症の人々が500万人以上もいると言われているアメリカ。この人々に思い入れのある曲を聴かせることによって当時の自分や家族の記憶を呼び起こすこと ができないか。ソーシャル・ワーカーのダン・コーエンの試みは、劇的な効果を上げるプロジェクトとして全米で注目されるようになる。マイケル・ロサト=ベ ネット監督による3年に渡る取材で完成した本作は、サンダンス映画祭で高い支持を得て、観客賞を受賞。その後も世界で公開され続けている。


 『中国・日本 わたしの国』(2013 ちと瀬千比呂)。来日して20年になる、残留邦人二世山田静、59 歳。現在は東京葛飾区で、男性ばかりの同僚に混じって働く女性タクシードライバー。中国で二度、日本で一度の離婚を経て、異父兄妹4人の子を女手一つで育 て上げた「肝っ玉おっ母」だ。そんな、病気をする暇もなかったという彼女が、腎臓を患い手術をした。「長く大連の、母の墓を訪ねていないため」だと考えた 彼女は、二人の子を連れ中国に里帰りをする。カメラはその旅に同行し、彼女のルーツに迫ろうと試みる。


 『無人地帯』(2011 藤原敏史)。2011年の福島、「20km圏内」。住民が避難し、無人地帯となった被災地の風景。そして、避難させられる期日が迫る飯舘村の人々。被災地 にとどまり続ける人々と避難で故郷を追われる人々、彼らの言葉から福島の現状を浮き彫りにしようと試みた作品。公開時のプログラムには「小川プロ出身の加 藤孝信が撮影を担当。ナレーションをアトム・エゴヤン作品で知られる女優アルシネ・カーンジャンが担当し、アモス・ギタイ作品を多く手掛けるイザベル・イ ンゴルドが編集。音楽はロバート・クレイマー作品の音楽でも知られるフリージャズの重鎮バール・フィリップス。」とある。実は、この映画の冒頭のシーンに は「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2011」で出会っていた。「山形市中央公民館」、プレスの取材室があるここの5階の壁に映し出された津波と地震の爪痕の映像。「3.11」をめぐる特集のインスタレーションのひとつだった…
  
『日本と原発』(2014 河合弘之 「脱原発弘前映画祭」)。弁護士河合弘之、弁護士海渡雄一、そして原発訴訟を共に闘う木村 結。3人は、丸2年の歳月をかけて被災地での情報収集、関係者と有識者へのインタビュー取材を続け、原発事故の背景から規制基準の問題点、エネルギー政策 の真実を徹底的に明らかにする。小出裕章、古賀茂明、青木秀樹、田中三彦、飯田哲也…彼らの語りひとつひとつが私たちの眼を開かせ、弁護士たちの活動や訴 訟は私たちを励ます。このような映画が、必要だったのだ。
  
 『フタバから遠く離れて 第二部』(2014 船橋淳 「harappa映画館)。ドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』(2012 舩橋淳監督)は、 福島第一原発事故後地域社会丸ごと移転した、福島県双葉町民の避難生活を描いた作品。町全体が全面立入禁止の警戒区域となり、町民1423人が約250キ ロ離れた埼玉県の旧騎西高校校舎へ避難。カメラは9ヶ月にわたって彼らの生活を記録した。「第二部」は、それ以後から現在に至る約3年間を記録した作品で ある。長い避難生活が続く中、町議会と町長が対立し、井戸川町長が辞任に追い込まれ、避難先で町長選挙が行われ、新町長が誕生し、役場がいわき市へ移転 し、町が帰宅困難地域に指定され、中間貯蔵施設の建設計画が起こり…そして、旧騎西高校避難所が閉鎖され、人々は去っていく。まだ、一人も、故郷への帰還 は果たしていない。

 『ふたつの祖国、ひとつの愛ーイ・ジュンソプの妻ー』(2013 酒井充子 「最前線」)。harappa映画館「ドキュメンタリー最前線2015」。韓国の国民的画家イ・ジュンソプとその妻山本方子の物語。1939年、朝鮮半島 から日本に留学し文化学院美術部に在籍していたジュンソプと、そこで学んでいた方子は恋に落ち、1945年、彼らは現在の北朝鮮・元山で結婚。しかし、戦 争終結・南北分断・朝鮮戦争・李ラインと続く激動の中、彼ら家族は時代に翻弄され、別離を余儀なくされていく…ジュンソプは1956年死去。2013年、 ふたりの生涯を描くドキュメンタリー制作のため、酒井監督は方子とジュンソプを知る人々へのインタビューを開始する。
  
 『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』(2014 フレデリック・ワイズマン 仙台チノ・ラヴィータ)。あらゆる領域に好奇心を持ち、ドキュメンタリー作品を作り続けてきた、巨匠フレデリック・ワイズマン。彼が30年間撮影を切望し 続けてきた英国の国立美術館、ロンドン・トラファルガー広場に建つナショナル・ギャラリー。「世界最高峰」と称えられるこの美術館の全館に3ヶ月間潜入 し、すべてをありのままにカメラに収めた至福の3時間。館内で行われる講演会、ギャラリートーク、ワークショップ、そして高度な修復作業。美術館スタッフ の情熱が、スクリーンを通して伝わってくる。
     

テレビ・ドキュメンタリーからも数本。今回も、すぐれた作品とたくさん出会うことができた。

『戦後史証言プロジェクト 日本人は何をめざしてきたのか 第5回~第8回(「知の巨人たち」)』(2015 NHKEテレ)。Eテレの大型シリーズ「日本人は何をめざしてきたのか」2015年1月は「知の巨人たち」(第5回~第8回)。
   「第5回 自らの言葉で立つ~思想家 吉本隆明~」は、戦後言論界のカリスマ吉本隆明の少年時代からその晩年にいたるまでの思索の軌跡を検証する。軍国少年であった吉本は、戦後、知識人・文学 者の戦争責任を激しく追及する活動と詩作を開始し、六十年安保ではブンド・全学連とともに行動し、その後自ら主宰する雑誌『試行』を拠点に思想家として活 躍する。詩作品、代表作『共同幻想論』、その「大衆」像、反「反核」の姿勢…西部邁、上野千鶴子、橋爪大三郎、高橋源一郎、そしてミュージシャン遠藤ミチ ロウらが語る「それぞれの吉本隆明」。吉本の全体像をつかむという意図からか、それぞれに物足りなさは残るが、さまざまな切り口を示した90分は刺激的で ある。      
  「第6回 近代とは何か 魂の行方~作家 石牟礼道子~」は、『苦海浄土』で水俣病を描いた作家・石牟礼道子の魂の軌跡とも言うべきその人生を追う。水俣の美しい自然の中で育ち、兄を沖縄戦で亡く し、戦後結婚して家族を作り、そして、筑豊を拠点とした「サークル村」に参加し、詩人・谷川雁や作家・上野英信、森﨑和江らと出会う…その後水俣病と、患 者たちと深く関わっていく石牟礼の生きざまを、息子の石牟礼道生さん、編集者の渡辺京二さん、彼女と行動をともにした人々や患者たちの証言と彼女の語りで 綴っていく。   
   「第7回 昭和の虚無を駆けぬける~三島由紀夫~」は、戦後日本を代表する文学者三島由紀夫の少年時代から1970年に自衛隊の市ヶ谷駐屯地で割腹自殺するまでの軌 跡。ドナルド・キーン、三島担当の編集者、美輪明宏、三島が結成した“楯の会”会員、三島との討論を行った東大全共闘メンバーなどの証言をもとに彼の「虚 無」を追求する。『仮面の告白』から『豊饒の海』に至る代表作品の解説も簡潔で、三島の思索の全貌が整理されている…しかし、謎は残る。   
   「第8回 手塚治虫」は、敗戦直後17歳の若さで漫画家としてデビューした手塚治虫の戦後の足跡を、漫画家の松本零士さん、萩尾望都さん、かつて手塚担当の編集者だったスタジオジブリ代表の鈴木敏夫さん、哲学者の梅原猛さん、手塚の実弟の手塚浩さんらの証言で綴る。              
      
   『THE ’60s:「ジョン・F・ケネディ暗殺」』(2015 スターチャンネル)。スターチャンネルが独占放送するトム・ハンクス製作のドキュメンタリー・シリーズ『THE ’60s』(2014 CNN)。第1回目は無料放送ということで観ることができた。1960年代のアメリカ社会で起こった「事件」、社会の変化・変遷を、当時の映像・記録と証言で描いていく。第 1回目のテーマは“ケネディ大統領の暗殺”。混乱する地元テレビ局の様子や目撃した人々の証言を、当時の放送映像や記録映像を織りまぜながら紹介する。第 2回目以降、“ベトナム戦争”・“テレビ黄金期の到来”・“英国音楽の襲来”…と続くが、残念ながら観ることはできない。

  『カンフー・ガールズ~台湾~』(2015 発掘アジアドキュメンタリー)。アジアの公共放送局4社(NHK、韓国・KBS、台湾・PTS、シンガポール・MediaCorp)が、協力して開催する国際企画提案会議「アジアン・ピッチ」。「発掘アジアドキュメンタリー」は「アジアン・ピッチ」で 選ばれた作品群、BS1放送の「BS世界のドキュメンタリー」(毎週月曜~木曜深夜24時~)の特集番組として放送。『カンフー・ガールズ』の舞台は、台 湾西北部の苗栗市にある台湾唯一の中国武術専門学校「福興武術学校」。親元を離れて寮生活を送る思春期の少女たちの厳しい訓練の日々を、国際大会で金メダ ルを狙う春如の成長していく姿を中心に追いかける。
  
 『実録 アイヒマン裁判』(2015 BS世界のドキュメンタリー)。1961年4月にイスラエルで始まった、ナチス・ドイツ下で行われた大量虐殺においてユダヤ 人の大量移送計画を指揮した人物アドルフ・アイヒマンに対する裁判。敗戦後アルゼンチンに身を潜めていた彼は、イスラエルの情報機関に逮捕され、裁判にか けられた。世界中から注目されたこの裁判で、初めてホロコーストが集中的に取り上げられ、アイヒマン自身も検事の質問に対し答えた。それは「自分は単なる 公僕であり、命令に従っただけだ」というものだったが…この裁判の記録と裁判関係者たちの証言で構成された本作品は、2011年フランスで制作された。

  『フルシチョフ アメリカを行く』(2015 BS世界のドキュメンタリー)。1959年、ソビエト連邦の最高指導者ニキータ・フルシチョフがアメリカを公式に訪問した。 時は冷戦のまっただ中、アメリカに到着した彼を待っていたのは好奇と敵意の眼だった。しかし、ワシントンから全米各地へ訪問を続けるフルシチョフの人柄 は、メディアによって全米に伝えられ、一大旋風を巻き起こしていく。アメリカとソビエト、双方の記録映像によるフルシチョフアメリカ訪問の全容。「インパ クトメディア 歴史アーカイブス賞」を受賞した、2013年フランス制作作品。
  
 『アンジェイ・ワイダ 若き映画人たちへ贈る授業』(2015 ノンフィクションW)。カンヌ映画祭パルムドールなど数々の受賞歴を誇る“ポーランド派”の巨匠アンジェイ・ワイダ。2002年、ワイダはワルシャワに 「アンジェイ・ワイダ映画学校」を設立、現在も特別授業という形で映画監督を目指す後進の指導にあたっている。2014年秋、この学校のリハーサル・スタ ジオ・コースに加わった12人の生徒が、ワイダの指導のもと課題の短編映画製作に挑む。その合評会までの生徒たちの姿を追う。なおWOWOWでは、2月、 『世代』(1955)・『地下水道』(1957)・『灰とダイヤモンド』(1958)の「抵抗三部作」と『ワレサ 連帯の男』(2013)を放送。

  『シリーズ 危険な時代に生きる 第1回~第4回』(2015 BS世界のドキュメンタリー)。アメリカと世界の気候変動や環境破壊について、その最新の状況をルポするシリーズ。2014年、アメリカで制作された9回シリーズ。
   第1回「乾く大地」は、干ばつの社会的影響を探る。ピュリツァー賞記者トーマス・フリードマンは内戦と干ばつの関係を明らかにするためシリアを訪れ、俳優 ドン・チードルは干ばつの影響で食肉工場が閉鎖されている米テキサス州を訪れ、俳優ハリソン・フォードはインドネシアの森林破壊が温暖化を促進している現 状をルポする。
   第2回「森がなくなるとき」は、森林破壊の原因をさらに追及する。アメリカで大量に消費されるパーム油の生産がインドネシア森林破壊を引き起こしたことを ハリソン・フォードがルポし、米カリフォルニア州の森林火災に立ち向かう消防士たちのもとををアーノルド・シュワルツェネッガー前知事が訪れる。さらに、 森林を枯れさせる害虫マウンテン・パイン・ビートルの生態を研究する学者の告発…破壊の現場が次々に紹介される。そして将来への道筋も。
   第3回「高潮に揺れる街」は、2012年10月、米東海岸を直撃した巨大ハリケーン・サンディの高潮で多くの住民が命を落としたニューヨーク州。地球温暖化に懐疑的な立場を取ってきた地元の共和党議員の、被災地復興に取り組む姿を取材する。
   第4回「氷と業火」は、地球温暖化に一貫して懐疑的立場をとってきたアメリカの保守派の牙城、南部の“バイブル・ベルト(聖書地帯)”の変化を追う。ノースカロライナ州の福音派の教会指導者である父と、環境問題に目覚めた娘の確執。

  『“3.11”を忘れない54 分断の町』(2015 テレメンタリー)。福島県内で発生した除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設建設予定地の大熊町。国と予定地の地権者は交渉が難航、そして全町民の約2割を占める地権者と非地権者間に、補償の差から見えない溝が生まれている。原発事故から4年、進む分断…。制作は福島放送。

  『漫画で人間社会を問う~東北の異端・いがらしみきお~』(2015 ノンフィクションW)。宮城県仙台市を拠点に活動する漫画界の異端児・いがらしみきお(60歳)。代表作『「ぼのぼの』の他、『かむろば村へ』・ 『「I[アイ]』・『羊の木』などの作品で知られる彼は、自身も仙台で東日本大震災を経験した。その彼が今取り組んでいる連載が、宮城県の海辺の町を舞台 に震災の3年後から始まる『誰でもないところからの眺め』。復興が進む中、震災や津波がどんどん風化していく町を描く彼の、創作過程に密着する。

  『生態学者・田邊優貴子』(2015 情熱大陸)。 南極と北極をフィールドに厳しい自然環境下に生きる生物の研究を続ける、国立極地研究所の生態学者・田邊優貴子。青森県出身の「極ガール」田邊の南極調査 の姿を追いかける。100万年という時間が作り出した厚い氷の下に広がる「緑の森」。数ある「情熱大陸」の傑作の中でも、最高の1本。

<後記>
  1-3月期に観た「ドキュメンタリー映画」13本のうち4本は、harappa映画館で自分たちが上映したもの。だが、近年、映画館でドキュメンタリー映画を観るチャンスは着実に増えてきている。ワイズマンの『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』も、仙台を訪れた際、普通に観ることができた。このチャンスを逃してはならない。
   次号は、全くの未定。少々充電が必要か…



(harappaメンバーズ=成田清文)

※『越境するサル』はharappaメンバーズ成田清文さんが発行しており、個人通信として定期的にメールにて配信されております。