2017年4月7日金曜日

【越境するサル】№.157「珈琲放浪記~パリの街角で、エスプレッソ~」(2017.04.02発行)

   3月の半ば、妻とフランスに出かけた。パリを中心に6泊、まるで修学旅行のような日程で、教会をはじめとする観光名所を一通り巡ったが、私の関心はそれだけではなかった。パンやチーズやハムやワイン、そして珈琲を味わうこと。もちろん、珈琲はエスプレッソ(エクスプレス)…


   フランス滞在最終日。午後にはシャルル・ド・ゴール空港に向かい夕刻にはパリを離れるというその日の朝、スーツケースに荷物をまとめ、ホテルに手荷物を預けチェックアウトを済ました後、モンパルナス通りへと歩き始めた。特に大きな目標があったわけではない。モンパルナスの街の雰囲気を楽しみ、カフェでちょっと一息つけたら。そんな軽い気持ちで、モンパルナス通りを目指したのだ。
   サン=ジャック通りのホテルを出て左に歩き、地下鉄サン=ジャック駅が右手に見えると、まもなくダンフェール=ロシュロー広場にたどり着く。あとで知ったのだが、カタコンブ(地下墓地)で有名な広場だ。オルリー空港行きバスを待つ人々の列の横を通り抜け、モンパルナス墓地とモンパルナスタワーだけを頼りに歩く。5分ほどで墓地に沿った道を歩いていることを確認し、さらに5分ほど進むとそこはもうモンパルナスの街だ。右に折れて、レストランが連なるガイテ通りを抜け、エドガー・キネ通りの朝市に遭遇した。水曜と土曜だけ開かれるこの市は、地元の人々でにぎわっていた。もちろんアジア系の人間も私たちふたり以外にはほとんど見当たらず、素顔のパリ・市井のパリをのぞいた気分になった。野菜・魚・ハム・チーズそして花、この土地でしばらく暮らしてみたい…そう思わせる場所だった。




   朝市の目の前にモンパルナス・タワーがそびえ立つ。その隣のモンパルナス・ショッピングセンターで態勢を整え(トイレは50セント、シャンゼリゼよりは安い…)、カフェを探しにモンパルナス通りへ出る。



   著名なカフェ(ビストロ・ブラッスリー・レストラン含む)が立ち並ぶこの通りをゆっくりと物色し、私たちがたどり着いたのは、ハムのサンドウィッチと珈琲が気楽に味わえる店だった。慣れないフランス語にいくらか英語を交えて注文した、ハムとチーズのサンドウィッチ(ジャンボン・フロマージュ)とエスプレッソ・ダブル。とうとう、このセットにたどり着いた…



   この日までの日程は、かなりハードなものだった。
   初日。シャルル・ド・ゴール空港に降り立った後、専用バスでイル=ド=フランス(首都パリを中心とする地域圏)のオー=ド=セーヌ県(パリの西側郊外の一角を占める)の街クリシーに向かう。モンマルトルにもほど近いこの街のホテルが、最初の宿泊場所となる。
   2日目。ここからずっと専用バスの旅。午前中はセーヌ河岸シテ島観光。コンシェルジュリー、サント・シャペルそしてノートルダム寺院。ビストロでの昼食をはさんで午後はシャルトルへ(1時間半)。シャルトル大聖堂をじっくりと見学。ロマネスクとゴシック、ステンドグラスについて学ぶ。シャルトル泊。



   3日目。午前、ロワールへ(2時間20分)。途中、レオナルド=ダ=ヴィンチゆかりのアンボワーズ城をロワール河畔から臨み、その後古城(シュノンソー城)見学へ。ビストロでの昼食をはさんで午後はモン・サン・ミッシェルヘ(4時間)。夕食後、夜のモン・サン・ミッシェル修道院へシャトルバスで。モン・サン・ミッシェル泊。



   4日目。午前、モン・サン・ミッシェル修道院入場・島内散策。午後、ホテルでの昼食の後、ヴェルサイユへ(4時間30分)。ヴェルサイユ泊。



   5日目。午前、ヴェルサイユ宮殿とマリー・アントワネットの離宮プチ・トリアノン。ビストロでの昼食をはさんで、パリへ(35分)。夕方までセーヌ河クルーズでパリの名所をひと巡り。夜は地下鉄で凱旋門他へ。パリ泊。



   6日目。午前、オプションのルーブル美術館。ミロのヴィーナス・サモトラケのニケ・モナリザ・カナの婚宴・ナポレオン1世の戴冠式…午後、ルーブルからコンコルド広場・凱旋門まで、シャンゼリゼ通りを散策。夕刻から、オプションのムーランルージュ・ディナーショー。ついに「フレンチカンカン」と出会う。



   こうして、最終日を迎えた。

   この6日間、珈琲に全くありついていないというわけではなかった。
   初日、クリシーの街を散策した際、公園の横に手頃なカフェを見つけ、勇気をふるって入ってみた。はじめての「カフェ体験」である。
   その日は普通の(つまりエスプレッソではない、もっと薄い味の)珈琲が飲みたかったので、メニューをじっくり読んで「カフェ・ロング(アロンジェ)」(「アメリカン」でもオーケー)を注文した。普段飲み慣れた味とは違うが苦みが主体で、長旅で疲れた体には心地よかった。その向かいに発見したマルシェと合わせて、幸運な初日の出会いだった。



   ホテルの朝食では、必ず珈琲を飲んだ。日本のホテル滞在時ではありえないことだ。ロングかエスプレッソ、どれもそこそこ美味しく感じたのは、朝食のパンやハムやソーセージ、それにチーズやヨーグルトやジュースが皆美味しかったからだ。少なくとも朝食については、ほぼ全てのホテルに満足した。
   パリに戻ってきてから、いよいよカフェのエスプレッソにチャレンジすることになった。
   6日目のパリ自由行動(とは言ってもガイド付きオプションが2つだが)の午前、ルーブル美術館の見学後に駆け込んだ館内のカフェ。想像以上に美味しかったベーグルとともに飲んだエスプレッソ(シングル)。
   そして、午後たっぷりと時間を取って散策したシャンゼリゼ通りのカフェ。これも想像以上に美味しかったケーキ(ミルフィーユ)とともに飲んだエスプレッソ(シングル)。間近に凱旋門を仰ぎながら味わった珈琲の味は忘れられない…



   というわけで、最終日の前に「カフェ体験」はすでに済ませていた。

   …さて、モンパルナスのカフェだ。
   待ち合せてランチの二人連れや子供連れの家族に囲まれながら、ハムとチーズとバゲットのサンドウィッチとエスプレッソを味わう。エスプレッソの苦みと砂糖の甘さが見事にマッチして心地よい。パリの目標をひとつ果たした満足感に包まれ、店を出た。



   滞在中一番の涼しさを感じる帰路、モンパルナス墓地入口を右手に見て(サルトルとボーヴォワールの墓はすぐ近くだった)午前中朝市をやっていたエドガー・キネ通りからラスパイユ通りに合流。左手には、藤田嗣治がアトリエを構えていたカンパーニュ・プルミエール通りがあるはずだ。



   朝最初の目印にしたダンフェール=ロシュロー広場付近は若者たちのデモンストレーションの出発地点となっているらしく、その喧噪と重低音のサウンドに圧倒される。何のデモか判然としなかったが、英語で書かれていたため唯一読み取れたスローガンには「私たちはテロリストではない、アーティストだ。」とあった。移民排斥に反対するデモだろうか…急ぎ足で、集合場所のホテルを目指す。




   こうして、パリ最終日は過ぎていった。

<後記>
   生まれて初めての「ヨーロッパ旅行」は、「旅のスケッチ」ではなく「珈琲放浪記」という形で報告することにした。「街角でエスプレッソ」というのが、実は一番大きな目標だったからだ。ただ、もっとコミュニケーションがとれたらもっと素敵なカフェ体験をすることができたのに、とも思う。これから、世界のどの街を訪れても、積極的に街角のカフェを訪れよう。

(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。

2017年4月3日月曜日

【越境するサル】№.156「今年出会ったドキュメンタリー 2017年1-3月期」(2017.3.31発行)

2017年1-3月期に出会ったドキュメンタリーについて報告する。

 
                   

   2017年1月から3月までに観たドキュメンタリーを列挙する。映画の方は2本を除いてすべてDVDでの鑑賞。( )内は製作年と監督名と鑑賞場所等、はテレビ・ドキュメンタリー。

   1月・・・『映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭89
              (1991 飯塚俊男)
             『追憶』(2015 小栗謙一 青森シネマディクト)
             『アイ・アム・ボルト』
              (2016 ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー)      

             『巨匠スコセッシ沈黙に挑む~よみがえる遠藤周作の世界~』
              (2017 BS1スペシャル)
             『欲望の資本主義2017 ルールが変わる時』
              (2017 BS1スペシャル)
             『うっちゃれ!青森・泣き虫相撲部の挑戦』
             (2017 NNNドキュメント)※ 
             『殺人者34万人の帰郷~ルワンダ虐殺 22年目の~』
              (2017 BS1「リアルサウンドが伝える世界」)
             『希望と絶望のティファナ~トランプ就任 国境の町は今~』
              (2017 ドキュメンタリーWAVE
             『大竹しのぶ~語り継がれる大竹様伝説 1世紀経ての出会い』
              (2017 ファミリーヒストリー)
             『将軍のチキンを探して』(2017 BS世界のドキュメンタリー)
             『終わらない人 宮﨑駿(ノーナレーション・完全版)』
              (2017 BS1スペシャル)
             強欲時代のスーパースター~ドナルド・トランプ 
                 1980s1990s~』2017 BS世界のドキュメンタリー)※                                  

 2月・・・『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』(2015 エイミー・バーグ)
            『シチズンフォー スノーデンの暴露』
             (2014 ローラ・ポイトラス)
            『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』
             (2015 アルバート・メイズルス)
             
            『すべての政府はウソをつく 前・後編』
             (2017 BS世界のドキュメンタリー)
            『築地市場 魚河岸の誇りと涙』(2017 BSプレミアム)
            『お笑い芸人VS.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日』
             (2017 NNNドキュメント)
            『路の途中~なつかしゃの歌を探して』
             (2017 サタデードキュメント)
            『その名は、ギリヤーク尼ヶ崎 職業 大道芸人』(2017 ETV特集)
            『わが町の誇り復活へ-震災6年 サッカーの聖地-』
             (2017 クローズアップ東北)
            『自衛官とその家族~戦後71年目の夏に』
             (2017 サタデードキュメント)※            
            『ノーベル文学賞作家 アレクシエービッチの旅路』
             (2017 BS1スペシャル)※            
            "夢の原子炉"は夢だった もんじゅ廃炉の内幕』
             (2017 NNNドキュメント)
            
 3月・・・『FAKE』(再)(2016 森達也 harappa映画館)
            『FAKE(ディレクターズカット版)』(2017 森達也)
        『子どもたちの涙~日本人の父を探し求めて~』(2014 砂田有紀)

            『初女さんのおむすび~岩木山麓・ぬくもりの食卓~』
             (2008 プレミアムカフェ選)
            『小野田元少尉の帰還 極秘文書が語る日比外交』
             (2017 ETV特集)
            『阿修羅 1300年の新事実』(2017 NHK)
         『果実のない木』(2017 BS世界のドキュメンタリー)
            『失われた大隊を救出せよ~米国日系人部隊
                           “英雄たちの真実~』(2017 BS1スペシャル)※            
    
       
   2017年1-3月期の印象に残った作品について数本紹介する。まず、映画から。

   『映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭89』(1991 飯塚俊男)。小川プロダクション全20作品DVD化プロジェクト、12月の第七弾は20本目、最後の作品。1989年に小川プロが中心になって開催された第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭の記録。これまで助監督を務めてきた飯塚俊男の監督デビュー作。小川紳介は構成・編集を担当。撮影には大津幸四郎も加わっている。天安門事件とベルリンの壁崩壊の年、アジアではじめての国際ドキュメンタリー映画祭に世界の作家が集い、自らの作品を上映し、そして熱く議論する姿が紹介され、あたかも自分も参加しているような臨場感があふれた作品となっている。終盤、1本の映画(ドキュメンタリー)もノミネートされなかったアジアの若い映画作家たちがシンポジウムに集い(その中に小川紳介と土本典昭もいる!)、製作が困難な状況を乗り越え「アジアにドキュメンタリー映画の種を蒔く」という宣言を発する。そして、1993年の第3回から事実上アジアの新人監督を発掘する新人監督賞「小川紳介賞」が創設される(小川紳介は1992年逝去)。記念碑的な映画である。

   『追憶』(2015 小栗謙一 青森シネマディクト)。1944915日から70日に及ぶ激戦の末、ペリリュー島では日米合せて1万を超す命が失われた。米国防総省・米海兵隊歴史部・米国立公文書館に保存されている膨大な映像と、日本の自衛隊第8師団・NHKに残る貴重な資料、元日本兵・アメリカの元海兵隊兵士・島民の貴重なインタビューにより、ペリリュー島の真実が描き出される。製作は奥山和由、ナレーションは美輪明宏。



   『アイ・アム・ボルト』(2016 ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー)。人類最速の男、ジャマイカのウサイン・ボルト。リオオリンピックでの「3大会連続3冠」に向けてトレーニングに励む姿を軸に、本人・両親・コーチ・アスリート仲間さらには著名人たちへのインタビュー、ジュニア時代から世界選手権・オリンピックに至る映像でつづるボルトの全貌。



   『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』(2015 エイミー・バーグ)。197027歳で逝った、伝説のシンガー、ジャニス・ジョプリン。生前の彼女を知るミュージシャン達、家族、恋人のインタビュー映像と彼女の手紙、ライブとレコーディング、そしてプライベートの映像素顔のジャニス・ジョプリンを描く、圧倒的なボリュームのドキュメンタリー。死後発表されたアルバム『パール』に収録された傑作「ミー・アンド・ボギー・マギー」へたどり着いた、彼女のドラマのような人生が哀しい。



   『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014 ローラ・ポイトラス)。イラク戦争やグアンタナモ収容所についてのドキュメンタリー映画で高い評価を受けた監督ローラ・ポイトラスは、2013年初め、シチズンフォーと名乗る人物から暗号化されたメールを受け取るようになる。その年の6月、彼女はシチズンフォーの求めにより、旧知のジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドとともに香港へ向かった。そこで二人を待っていたのは29歳の元CIA職員エドワード・スノーデン。こうして、NSA(国家安全保障局)が米国民の膨大な通信データを秘密裏に収集している、という衝撃の告発がスタートする本作はアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞をはじめ、40もの映画賞に輝いた。



   『FAKE』(再)(2016 森達也 harappa映画館)。34日、第24harappa映画館「ドキュメンタリー最前線2017」で『ジョーのあしたー辰吉丈一郎との20年ー』・『袴田巌 夢の間の世の中』とともに上映された。私にとって2度目の鑑賞だが、主催者側として観客の反応を確かめながら映画の細部までチェックしてみると、新たな発見がいくつもあることに驚かされた。そして映画を見終わったあとの感想はと言えば、依然として疑問だらけ・謎だらけ善悪あるいは真偽の「二分法」への異議申し立てという、監督の意図についてはなんとか理解することができたか。ちなみに観客の数は84名、この日の3本合わせて177名。かなりの善戦と言えるのではないか。ところで、この上映会の2日前、『FAKE(ディレクターズカット版)』が発売された。これから上映版との比較をじっくりしていきたいが、また疑問が増えそうな気がする。



   『子どもたちの涙~日本人の父を探し求めて~』(2014 砂田有紀)。20173月、NHKBS1で放送された。監督・脚本・編集砂田有紀。日本・オランダ合作。第二次世界大戦中、日本軍占領下のインドネシア(旧オランダ領)で日本人の軍人・軍属と現地の女性との間に生まれた子どもたち。終戦後、父親たちは日本に送られ、子どもたちの多くはオランダに渡った。そして今、彼らは自分たちのアイデンティティを求めて、父親を探し始める。IMA国際映画賞2014 短編ドキュメンタリー部門金賞受賞(インドネシア・ジャカルタ)。



    テレビ・ドキュメンタリーからも数本。

   『欲望の資本主義2017 ルールが変わる時』(2017 BS1スペシャル)。混迷する現代の資本主義を、「欲望」という視点から読み解こうとする野心的な番組。内外の経済のフロントランナーたちが、アダム・スミス・利子・ケインズからゼロ金利・英EU離脱・トランプ相場に至るまで語り合う。

   『殺人者34万人の帰郷~ルワンダ虐殺 22年目の~』(2017 BS1「リアルサウンドが伝える世界」)。1994年、ツチ族とフツ族の対立によって80万人以上が殺されたルワンダ虐殺。虐殺に関わった34万人の加害者たちが刑期を終え釈放、村には加害者と被害者遺族とが隣り合って暮らしている。この番組では、釈放されたひとりの加害者の帰郷に密着し、被害者遺族との和解までを記録する…BS1の「リアルサウンドが伝える世界」は、新しく始まったノーナレーションのドキュメンタリーシリーズ。

   『お笑い芸人VS.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日』(2017 NNNドキュメント)。制作は日本テレビ。福島第一原発事故から6年が経過しようとしている。この間、東京電力の記者会見に最も多く出席したのが、お笑い芸人「おしどり」のマコ・ケン夫婦。当初は全く相手にされずバッシングを受けることもあったが、猛勉強で鋭い質問の突っ込みを繰り返しいくつかの新事実を明らかにしている。子供たちと原発作業員の健康問題を取材し続ける「ジャーナリスト」「おしどり」の活動を追う。

   『路の途中~なつかしゃの歌を探して』(2017 サタデードキュメント)。制作はMBS南日本放送。地上で最も優しい歌声のキャッチフレーズを持つ奄美出身のシンガー中孝介。昨年デビュー10周年を迎えた彼の、奄美の民謡・島唄の若手「唄者」からポップスデビューを経て現在に至るまでの軌跡を、デビュー前から取材を続けてきたMBS南日本放送の貴重な映像で綴る。「サタデードキュメント」は、2016年4月にスタートしたBS-TBSの番組。TBS系ネットワーク・JNN28局が制作したドキュメンタリーを放送する。

   『果実のない木』(2017 BS世界のドキュメンタリー)。制作:Les Films du Balibari /Maggia Images(フランス・ニジェール 2016年)。この作品の監督でもあるアイチャは、「不妊は女性のせい」とされるニジェールで、自分と同じように子供を授からない女性たちを訪ね、生き方を見つめ直す。彼女の語りと映像美が魅力的な映像詩。サレ国際女性映画祭(2016)最優秀ドキュメンタリー受賞作品。


<後記>

   -3月期は、仕事に余裕があったわりには低調であった。私が、である。3月の第24harappa映画館「ドキュメンタリー最前線2017」は何とか成功裡に終えることができたが、その後公私ともに多忙で、さらに妻とパリ旅行に出かけるという慌ただしさ。今号もやっと出すことができたという感じである。

   次号は、「珈琲放浪記」でパリ旅行の報告。すぐ発信する予定。



(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。