2023年4月3日月曜日

【越境するサル】№.209「珈琲放浪記プラス~『エゴン・シーレ展』から御茶ノ水へ~」(2023.04.04発行)

 

20233、いくつか目的があって東京に滞在した。わずか3日ほどの旅だったが、結局珈琲放浪を中心に計画を立てている自分がいた。

そういえば、しばらく「珈琲放浪記」を発信していない。旅行が制限されていたというのが一番大きな理由だが、その間も私はさまざまな珈琲と出会い、前と同じように珈琲中心の日々を過ごしていたのだ。前号の「函館幻視行」も、何割かは「珈琲放浪記」と言えるような内容だった。

しばらく、「珈琲放浪記プラス」という形で、出会った珈琲について(もちろんそれ以外の出会いも含めて)語り始めたいと思う。まずは今回の東京滞在から、3本ほど。

 

 

「珈琲放浪記プラス~『エゴン・シーレ展』から御茶ノ水へ~」

 

 2023314日。122分、上野駅着。ずっと東京には来ていなかった。もちろん、コロナ禍のせいだ。美術館も、博物館も、映画館も、すべて断念していた。というか、計画を立てる気力がなかった。せいぜい、近隣の街(県内か、隣県)に行くぐらいしか思い浮かばなかった。

 ようやく東京に来る気になったのは、東京都美術館で「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」が開催(1/264/9)されているからだ。若いときから、私にとってエゴン・シーレは特別な存在だった。彼を描いた2本の映画(1980エゴン・シーレ 愛欲と陶酔の日々』、2016『エゴン・シーレ 死と乙女』)の影響もあるが、美術の門外漢である私が画集を購入したりしたのだから、相当入れ込んだと言っていい。

 2019年(4/248/5)、国立新美術館で開催された「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」でも直にシーレ作品のいくつかを鑑賞することは出来たが、いつか本格的なシーレ展と出会いたいものだと思い続けていた。そして、その日は来た……


この日、東京では桜が開花。春の到来を体全体で受けとめた人々で溢れる上野公園を歩く。東京都美術館まで、まっすぐに。




 30年ぶりの日本での回顧展、全14章でシーレの作品50点を含む同時代の画家の作品120点、そのうち風景画のコーナーは撮影可……なんという、濃密な時間だ。遠くから、この時間を過ごすために、はるばるやって来たのだ……







ミュージアムショップで長い行列の末公式図説と絵はがきを購入し、美術館をあとにした。




すぐ、ホテルのチェックインのため、上野駅から御茶ノ水駅に向かう。かなり密なスケジュールを組んでいたため、カフェに寄っている余裕もなかった。

御茶ノ水駅からほど近い、明治大学に隣接する「山の上ホテル」を1ヶ月前に連泊で予約していた。



チェックインを済ませ、ようやく珈琲にありつくことにした。行く店は決めていた。ホテルからすぐ、明大通りの「古瀬戸珈琲店」。深煎りの「古瀬戸ブレンド」が飲めるはずだ。



 

初めての店だが、隣の古書店「文庫川村」には文庫や新書を求めて訪れたことがあった。




 

大勢の客で賑わう店に入り、カウンターに座って一息つく。もちろん注文は、「ブレンド」。選択した白い磁器のカップで、ゆっくり口に運ぶ。しっかり苦いが、優しい深煎りだった。この滞在中、出会った深煎り珈琲はみな一様に優しい飲み口だったが、それを象徴するような最初の一杯……



その後、古い友人たちと会うために、飯田橋に向かった……

 

夜、もうすでにお気に入りになったホテルに「帰宅」する。この感覚を味わいたいから、滞在するのだ。






(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、

個人通信として定期的に配信されております。

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