2013年7月7日日曜日

【つむじ風】2号「足裏の温度」

先日、弘前の俳句会の吟行があって大鰐町へ行った。
吟行とは、お金を預ける所ではなく、ある場所へ出かけて行って、歩いて見て聞いて味わって、詩歌をつくることである。その場で使い切れなかったものは、自分の心に貯蓄して、惜しみなく使うことができる。

その前に、「弘南鉄道の大鰐線を2017年3月までに廃止することを検討している」というニュースが出た。吟行は以前より組まれていた予定で、いつもなら見逃してしまうであろう記事に目が止まった。そして、その電車を利用することが、前から必要だったような気がした。

いつもギリギリの私は、この日も出発駅である中央弘前駅に着いたのが一分前で、走って汗だくの私を見て、女性の改札員の方が「どごまでいぐの?」と言い切符を買ってくれた。ハーハー言いながら電車に乗り込むと、みんながニコニコと座っていた。ちょっとバツが悪いなと離れて座ろうとしたら、「ダメダメ、こっちがうちらの指定席なんだから」と私を誘ってくれた。ありがたいことである。


とてもお天気の良い日で、窓から入ってくる風が気持ちよかった。少し落ち着いてから、電車内を見回した。すると、お古の電車なのだろう。つり革には「東横のれん街」、「109」など東急系列の広告が書かれていた。ただ、少し違うのはりんごをイメージしたわっかは赤く、緑のフェルトで作られた葉っぱの部分は、なんと岩木山をイメージ(これは、ちょっと無理やりかな(笑))していた。そのことは、東急系の広告の反対側にちゃんと説明されていた。後で聞いた話しだが、途中の駅から、私と同じように慌てて乗ってきた女性のために、扇風機を回してくれたという。ちょこちょことした、気遣いを感じた。

いろんなことを思いながら、大鰐までの電車に揺られていた。東京にいた十数年間は、帰郷したときしか車に乗らなかったなと。もちろん電車のお世話になったが、それだけ自分の足を使っていろんな場所へ歩いていたんだなと・・・。

   


今日は7月7日。お古の車両は何年前のものか定かではない。しかし、東京からのUターン組である私は、もしかして数年前の七夕の日に同じ電車の同じ席に、大好きな彦星と乗っていたかもしれない。そんな思い出の遠足もできる。今夜は、晴れますように。

harappaメンバーズ=KIRIKO


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