2015年2月25日水曜日

【越境するサル】 №136「『フタバから遠く離れて 第二部』と『ドキュメンタリー最前線 2015』~上映会への誘い~」

 来月、2015年3月、「harappa映画館」は4本のドキュメンタリー映画を上映する。3月11日の弘前文化センター・ホールと3月14日の弘前中三8F・スペースアストロ、「忘れてはいけないことがある」と銘打って上映される作品群を紹介する。

「『フタバから遠く離れて 第二部』と『ドキュメンタリー最前線 2015』~上映会への誘い~」

 今回の上映作品を紹介する。

   まず3月11日。ちょうど4年前、東日本大震災があり、福島第一原発によって多くの周辺住民が避難を強いられる発端となった日。船橋淳監督の『フタバから遠く離れて 第二部』(2014)を上映する。   旧騎西高校で避難生活を続ける双葉町の人々を記録した前作『フタバから遠く離れて』(2012)は、2013年4月弘前で上映され(「harappa映画館)多くの人が文化センターに駆けつけたが、その後双葉町の人々の生活は激変していく。どこまでも続く避難生活、町議会と町長の対立、新町長の誕生…カメラはその日々を追い続ける。
   3月14日は『ドキュメンタリー最前線 2015』として3本の作品を上映する。   リティ・パニュ監督の『消えた画 クメール・ルージュの真実』(2013)は、カンボジアを舞台とする作品を作り続けてきた彼の、自らと家族の記憶をめぐる物語である。   ポル・ポト政権、クメール・ルージュ支配下のカンボジア。強制労働キャンプで少年時代を送った彼は、その過酷な労働の中で家族の多くを失った。しかし、そ の記録映像は存在しない…パニュ監督は、犠牲者が葬られている土で人形を作り、その人形たちを使って家族のストーリーを再現する。   誰も考えつかなかった土人形によるドキュメンタリー。しかし、人形たちが語りかけるものの深さは想像を超える。 

   纐纈あや監督の『ある精肉店のはなし』(2013)は、大阪貝塚市の北出精肉店の日々の記録である。4世代がともに働く家族経営の店の、当たり前の日常。 牛の飼育・屠畜・解体そして切り分けて店頭に並べ販売…そこには家族の歴史があり、いのちと向き合う人間の姿があり、日々の生活がある。   スタートの屠畜のシーンからラストまで、時間は静香に流れていくが、私たちは徐々にその世界の中に引き込まれ最後まで心地よい緊張は途切れない。   2013年の「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で上映後、話題を呼び全国各地で上映される。2014年文化庁映画賞文化記録映画部門大賞受賞。
   酒井充子監督の『ふたつの祖国、ひとつの愛ーイ・ジュンソプの妻ー』(2014)が描いているのは、韓国の国民的画家イ・ジュンソプ(1916~56)とその妻山本方子の夫婦の物語である。   第二次世界大戦中、日本の美術学校に留学していたイ・ジュンソプと財閥企業の令嬢山本方子は恋に落ちる。1945年、戦争が続く中、方子は危険をおして朝 鮮半島へ渡りジュンソプと結婚、家庭を築く。しかし朝鮮戦争(1950~)の戦火と貧困に追われ、1952年、方子と子どもたちは栄養不良のため日本へ。 以後、1953年に特別滞在許可でジュンソプが日本に滞在した1週間を除けば、彼ら家族は離ればなれの生活だった。1956年、ジュンソプは肝臓障害で入 院、この年息を引き取る。残されたのはふたりの間でやりとりされた200通以上の手紙だった。   酒井監督の作品は、「harappa映画館で2度上映している。『台湾人生』(2009)『台湾アイデンティティ』(2013)である。『台湾人生』上映の際にはシネマトークもお願いした。   今回、再び、シネマトークのために監督が弘前を訪れる。『ふたつの祖国、ひとつの愛ーイ・ジュンソプの妻ー』上映後、たくさんの人々とともに酒井監督の言葉に耳を傾けたい。
     
日程は次の通り。
3月11日(水) 弘前文化センター・ホール
  18:30 開場 19:00 『フタバから遠く離れて 第二部』(21:00終映予定)
3月14日(土) 弘前中三8F・スペースアストロ 
  10:30 『消えた画 クメール・ルージュの真実』
  13:30 『ある精肉店のはなし』
  16:00 『ふたつの祖国、ひとつの愛ーイ・ジュンソプの妻ー』
      ◎上映終了後、酒井監督によるシネマトークを開催

当日 1200円
3回券綴り 2500円(前売・予約のみ取扱い)
※1作品ごとにチケットが必要です
店頭発売弘前中三、コトリcafe(弘前市立百石町展示館内)、 紀伊國屋書店 弘前店、まちなか情報センター、弘前大学生協
※『越境するサル』はharappaメンバーズ成田清文さんが発行しており、個人通信として定期的にメールにて配信されております。

  『ドキュメンタリー最前線 2015』
前売 1000円
詳細は、次をクリックせよ。


<後記>

   4本の映画すべて、観てほしい作品である。ぜひ足を運んでほしい。次回については未定。


(harappaメンバーズ=成田清文)

※『越境するサル』はharappaメンバーズ成田清文さんが発行しており、個人通信として定期的にメールにて配信されております。

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