2017年10月24日火曜日

【越境するサル】№.164「珈琲放浪記~山形で『自家焙煎深煎り珈琲』に出会った~」(2017.10.21発行)

 この10月、「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」で山形市を訪れた。その概要はすでにこの通信で報告しているが(※注)、今回の映画祭期間中に出会った珈琲についても紹介したいと思う。何度もこの街を訪れながら、実はまだ「珈琲放浪記」で山形を紹介したことがなかった。それは、私の求める「自家焙煎深煎り」の珈琲となかなか出会わなかったからだが、今回の旅でついにお気に入りの味と出会った。それも3店。今後何度も訪れるであろうこの街が、「珈琲放浪」にとっても重要な場所になった。

 
        「珈琲放浪記~山形で『自家焙煎深煎り珈琲』に出会った~」

  出発のかなり前から、山形市内の自家焙煎珈琲の店をネット検索等で調べ始めた。そして、ここ1~2年の間に開店した2軒の店が自分の好みに合うのでは、と思うようになった。映画祭の会場や中心街ともほど近く、これはもう時間を作って行くしかない。「珈琲放浪」のスタートだ…


1 「ボタコーヒー(BOTA coffee)」山形市七日町

  かつて、いくつもの映画館が立ち並んでいた七日町「シネマ通り」。「ボタコーヒー」の店内に足を踏み入れると、なにやら既視感のようなものに包まれている自分に気づく。100年続いた「洋傘のスズキ」の建物をそのまま利用し、内壁はむき出しのコンクリート。一見無造作に置かれた椅子やテーブルと薄暗い室内。雰囲気はまるで「いまどきのカフェ」のようにも見えるが、珈琲の質に対する頑固さは並大抵ではない。
  若い店主が丁寧にドリップする自家焙煎深煎りの「ボタブレンド」は、しっかりとした苦みを特徴としながらも、なぜか優しさも兼ね備えている。珈琲は通常この「ボタブレンド」のみ。柔らかな人当たりの店主だが、珈琲に関しては最高のものを求めて、試行錯誤を繰り返している。そう感じた…2度目に訪れた際、同じく「ボタブレンド」のアイスをスイーツとともに注文したが、これもなかなかのものだった。
  自宅でいろいろと試してみたいと思い、ブレンドの豆100gを購入した。



  
2 「蔵王の森焙煎工房 旅篭町店」山形市旅篭町

  山形美術館界隈はもともとお気に入りのエリアだった。映画祭でもたびたび美術館を会場とする企画のために訪れ、公園のベンチで休んだり、近くの古書店に立ち寄ったり、まあちょっとした休息のためには便利なエリアだったのだ。その近くに自家焙煎の珈琲店ができた。「蔵王の森焙煎工房 旅篭町店」である。ちょうど映画祭期間中、美術館前にテントを立てて出店していたので、店の方も営業していることを確認し訪れた。
  美術館から徒歩で5分もかからない距離にある店に着く。棚一面に置かれた各種ブレンドとストレートの豆の壜に目をやり、それぞれの豆の焙煎の度合いを店の人に確かめる。その中から選んだのが「インカのめぐみブレンド」。店内のテーブルで早速飲ませてもらう。フルシティローストとあるが、フレンチローストにかなり近い感じだ。マンデリン40パーセント、苦みとコクは充分、しかもすっきりとした喉越し。途中から少量の砂糖を加え、一気に飲み干す。これは職場に持ち帰って同僚に振る舞うべき珈琲だと思い、豆200gを購入。ついでに自分用に、これもフレンチローストに近いと思われるストレート「ケニヤ」100g購入。
  いい買い物ができた、という充実感とともに店を出た。




3 「自家焙煎珈琲ひぐらし」鶴岡市日吉町(山形市民会館前で出店)

  映画祭の期間中、土日月の3日間、山形市民会館の前に移動販売車で出店していたのが「自家焙煎珈琲ひぐらし」である。ちょうど出店初日の夕方、映画と映画の合間に思い切って珈琲を注文してみた。「86ブレンド」、この店のスタンダードらしい。何と、期待をはるかに上回る絶品の味。苦みと切れ味が見事にマッチした、完全に私好みの深煎り。こういう偶然の出会いがあるからイベントは面白い。
  「ひぐらし」は山形県鶴岡市の店舗を持たない珈琲店で、山形県と宮城県のイベントへの移動販売車による出店と配達・発送を主にしているとのこと。京都「自家焙煎珈琲ガロ」で焙煎技術を学んだということで、試しに豆も購入したが、なるほど納得できる豆の色だ。
  今回の映画祭では、朝の時間がかなりのラッシュだったようだが当然だろう。朝、気軽に美味しい珈琲を飲んで映画に向かう。あわただしいスケジュールの中、映画祭参加者にとっては素敵な贅沢である。滞在最終日も、もちろんここで珈琲を飲んでから、目指す会場に向かった…



  3つの店の豆を弘前に持ち帰り、毎日自宅で飲み続けている。すべて私の求める水準を超える美味しさである。今月いっぱい、「山形珈琲放浪」は続く。


(※注)
『越境するサル』№163「4年ぶり、映画の都へ~『山形国際ドキュメンタリー映画祭2017』~」
   http://npoharappa.blogspot.jp/2017/10/163-4201720171015.html


<後記>

   「ヤマガタ」2本目の通信を発信する。4年ぶりの映画祭で、書きたいものがたくさんあったのだ。調子に乗って、山形のワインについても書こうと思ったが、それは別の機会にする。

   次号は、harappa映画館「弘前出身、木村文洋監督特集」の紹介。





(harappaメンバーズ=成田清文)
※「越境するサル」はharappaメンバーズの成田清文さんが発行しており、
個人通信として定期的に配信されております。

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